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弱視治療の症例パターンを6つ紹介!

弱視治療の症例パターン記事のアイキャッチ画像
視能訓練士

弱視治療に症例パターンてあるんでしょうか

弱視治療にはいくつか症例パターンが
あります。

パターンをあらかじめ知っておくと、
治療の方向性がわかるようになるので
押さえておきましょう。

今回は

  • よくある症例パターン
  • 注意したい症例パターン
  • 珍しい症例パターン

に分けてご紹介していきます。

先輩視能訓練士

本記事は視能訓練士歴20年の筆者が、勤務施設での経験をもとに解説しています

今回ご紹介する弱視治療の症例パターン
は以下の6つです。

左右差のない屈折異常弱視
左右差がある屈折異常弱視(不同視弱視)
斜視を合併している弱視
発見が遅かった弱視
全身疾患や発達障害を伴う弱視
珍しい弱視

今回ご紹介する内容は、あくまで一例となります

目次

よくある症例パターン

眼鏡をかけて弱視訓練をする女の子の画像

まずはよくある症例を知っておきましょう。

左右差のない屈折異常弱視
左右差がある屈折異常弱視(不同視弱視)
斜視を合併している弱視

それぞれ見ていきます。

①左右差のない屈折異常弱視

左右差のない屈折異常弱視はよくある
弱視の一つです。

RV=0.1(0.3×S+6.00D)
LV=0.1(0.2×S+6.50D)

度数を見ると遠視が強くてちょっと心配
になりますが、左右差がほぼないため、
眼鏡をかけているだけで両眼の視力が
だんだん上がってくると期待されます。

治療法の例

屈折検査(調節麻痺薬の検査を含む)で得られた正しい度数の眼鏡を常用して視力の発達を促す

先輩視能訓練士

私は屈折度数がわかった段階で、すぐに左右差を見るようにしていますよ

左右差を見ることで弱視治療の難易度がある程度想像できるようになります

②左右差がある屈折異常弱視(不同視弱視)

視力や屈折度数に左右差がある弱視
よく見られます。

いわゆる不同視弱視です。

RV=0.9(1.0×S+2.00D)
LV=0.1(0.3×S+6.50D)

上記の例には4.50Dの左右差があります。

右眼はすでに(1.0)出ていますが、
左眼は(0.3)しか出ていないので治療
をしなければいけません。

治療法の例

健眼(右目)にアイパッチ*を貼って、視力の出ない患眼(左眼)を使わせるアイパッチ治療を開始して視力の発達を促す

*アイパッチは商標名です

ただし、右眼が確実に(1.0)出ているか
アイパッチ前に確認しておく必要がありま
す。

アイパッチ開始の一例として

筆者の施設では(1.0)が2カ月〜数カ月安定して確認できた段階でアイパッチを開始しています

③斜視を合併している弱視

内斜視や外斜視を合併している弱視
珍しくはありません。

いわゆる斜視弱視です。

よくあるのが遠視の内斜視です。
その中でも遠視に対して調節することで起こる調節性内斜視はよく見られます。

純粋な調節性内斜視の場合は、アトロピン点眼で検査して作成した完全矯正眼鏡をかけると内斜視が消失します。

内斜視でも外斜視でも、基本は完全矯正
眼鏡を装用して視力の発達を目指し、
残った斜視に対しては手術も検討して
いくという流れです。

先輩視能訓練士

弱視に加えて斜視もあると慌ててしまいますが、まずは弱視治療が優先です

注意したい症例パターン

眼鏡をかけた女の子と注意マークの画像

注意したい症例パターンは以下の2つです。

発見が遅かった弱視
全身疾患や発達障害を伴う弱視

④発見が遅かった弱視

例えば、弱視に気づいたのが7歳だった
場合、緊急性を持って注意深く弱視治療
に取り組まなくてはいけません。

視力の感受性期は8歳~10歳ごろまで*と
されているため、視力や屈折度数の程度
によっては、視力の向上が見込めない
場合があります。

*視力の感受性期の年齢には諸説あります

治療法の例

  • まずは完全矯正の眼鏡を常に装用する
  • 片方の視力が出ない場合はアイパッチも集中的にする

という感じです。

たとえ眼鏡やアイパッチを嫌がったと
しても、大人がしっかりと治療の必要性
を説得
し、残り少ない感受性期間の間に
できるだけ視力を伸ばす
必要があります。

先輩視能訓練士

年齢の大きなお子さんは、しっかり説明するとわかってくれることが多いです

最後まで諦めずに皆でサポートしていきましょうね

⑤全身疾患や発達障害を伴う弱視

全身疾患を伴う弱視には注意をしなければ
いけません。

  • ダウン症
  • てんかん
  • アトピー性皮膚炎
  • ADHDなどの発達障害

などです。

全身疾患や発達障害を持つお子さんは、
眼鏡を極端に嫌がったり、眼鏡やアイ
パッチをすることが心身ともに大きな
ストレスになることも多い
です。

また、心身のストレスによって全身の
症状を悪化させてしまうということにも
なりかねません。

治療法の例

かかりつけの小児科などとも連携し、お子さんに過度なストレスがかからないようさまざまな角度から観察する

など柔軟性を持って対応しましょう。

先輩視能訓練士

そのお子さんに合わせて、きめ細やかな配慮や声かけをしてあげて下さいね

珍しい症例パターン

医師がPCを打つ画像

珍しい弱視の症例パターンとして以下を
ご紹介します。

調節麻痺薬(サイプレジンやアトロピン)点眼後に内斜視が出現した例

普段は正位なのに、サイプレジン後に
内斜視が出現するという場合があります。

初診時のレフ
B)-0.50D

RV=0.4(0.5×S-0.50D)
LV=0.5(0.6×S-0.50D)

Far ortho
Near ortho

視力が出ないのでサイプレジンを施行。
サイプレ後のレフ
B)+3.50D

Far 40ΔET
Near 40ΔET’

となりました。

考えられること

  1. 普段は調節でピントを合わせていたけれど、サイプレジンで調節麻痺させられて調節ができなくなる
  2. 調節しないと見えないのでさらに調節する
  3. 調節しようとしてもできない
  4. よって超調節しようと頑張った結果、眼位だけが内斜視になってしまう

治療法の例

可能であればアトロピンをしてみて、出た度数に対して眼鏡処方をして装用する*

*あくまで一例です

普段は見られなかった斜視が出てくると
びっくりするものですが、このように、
「珍しいけどたまにある」という症例に
ついても知っておいて下さい。

先輩視能訓練士

珍しい症例は、施設の規模に関係なく突然出くわすものです

一人で悩まずに医師や他の視能訓練士の人にも相談してみて下さいね

まとめ

弱視治療の症例ごとのパターンを6つ
ご紹介しました。

  • よくある症例パターン
    ①左右差のない屈折異常弱視
    ②左右差がある屈折異常弱視(不同視弱視)
    ③斜視を合併している弱視
  • 注意したい症例パターン
    ④発見が遅かった弱視
    ⑤全身疾患や発達障害を伴う弱視
  • 珍しい症例パターン
    ⑥調節麻痺薬(サイプレジンやアトロピン)点眼後に内斜視が出現した弱視

臨床で出合う症例パターンはこの限り
ではありません。

また、施設ごとに考え方や方針が違う
こともあるので、あくまで一例として
参考にしてみて下さい。

先輩視能訓練士

慣れないうちは、症例によっては混乱してしまうものです

他にもたくさん弱視記事がありますので、合わせて読んでみて下さいね!

    

 

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