【石原式色覚検査・パネルD-15】色覚検査のコツを解説!
色覚検査はデリケートな問題もあるから無駄に緊張する…
色覚検査は、検査結果によっては将来
の職業選択などにも影響するため、
不安を抱えながら検査を受ける
患者さんや保護者の方も多いです。
そのため、正確な手技はもちろん、
検査時の配慮も求められます。
色覚検査として代表的な石原式色覚検査とパネルD-15について、検査の流れやポイント、配慮したいことなどを解説
「色覚検査って何?」と患者さんに聞かれたら
「そもそも色覚異常(色弱)って何?」
と、色覚異常についての質問を受ける
場合もありますが、基本的には次のよう
に回答します。
色覚異常に関してはデリケートな部分
も多いため、あまり多くは言及しない
で下さい。
「色覚異常とは、通常の人よりも見分けにくい色がいくつかある状態です」
「現在は色弱ではなく、色覚異常と呼ばれています」
「色覚異常について詳しいことは、診察で先生に聞いてみて下さいね」
以下のような説明にとどめ、詳細は
医師に確認するよう促しましょう。
色覚検査で配慮したい3つのこと
色覚検査を行う上で配慮したい、
3つのポイントについて解説します。
- 保護者と距離を置く
- 本人に結果を見せない
- 不安を紛らわす声かけ
1.保護者は検査室の外で待っていてもらう
色覚検査中、保護者は検査室の
外で持っていてもらうようにして
下さい。
保護者に検査状況や本人の回答を
見せるのは、保護者や本人の精神
衛生上あまり好ましくありません。
また、検査結果に関しては診察時に
医師から説明を受けるほうが望ましい
です。
心配して付き添いを希望する保護者
もいますが、
などと説明し、待合室で待っている
ように促して下さい。
たいていの保護者は「お願い」をすると従ってくれます
2.検査結果は本人の目に触れないようにする
検査結果や記載用紙は、本人の目に
触れないように十分配慮して下さい。
「自分は色覚異常かもしれない」
「さっきの答えは間違いだったかな」
などと不安にさせないためです。
また、検査が終わって結果を記載する
際も、以下のように工夫して下さい。
- 本人からは見えない位置で行う
- 記載部分以外は厚紙などで隠しておく
特に、「正常/異常」などの部分が目に触れないようにします
「自分の結果はどうだったかな?」と、のぞきこんでくることもありますからね…
3.不安を感じさせないような声をかける
色覚検査の説明や声かけは、常に
「本人に不安を感じさせない」
ということを意識して下さい。
「なかには何も書いていない図形もあるから、わからなかったら言ってね」
「はっきりしなくても、なんとなくで答えて大丈夫だよ」
「微妙な色の違いだけど、ゆっくり見ていいよ」
「なんとなくでいいから並べてみてね」
また、細かい部分ですが、検査者の
心の余裕も大切です。
検査に対して不安があると、焦りや
緊張が患者さんに伝わってしまいます。
検査方法や流れは事前にしっかりと
確認しておき、落ち着いて検査を
行えるように備えて下さい。
色覚検査はたまにしかやらないので、緊張しやすいです。
気をつけよう
色覚検査の前に確認したいこと
色覚検査前に確認しておきたい、
問診や検査中の屈折矯正について
説明します。
日常生活での見え方
色覚検査前、本人に以下のような
ことをさりげなく確認してみて下さい。
- 「色鉛筆やクレヨンを間違って取ってしまうことがある?」
- 「信号の赤と青がわかりづらいな~ってことはないかな?」
もし色覚異常があった場合、日常
生活にどれだけ影響を及ぼしている
かを把握するためです。
施設によっては色覚検査に関する問診
を医師が行う場合もあるため、施設ごと
のルールに従いましょう。
検査中の屈折矯正
屈折によっては、図形やキャップが
より鮮明に見えるように矯正します。
常用している眼鏡があり、
度数が合っている場合は装用したまま
検査を行ってもかまいません。
石原式色覚検査の流れとポイント
石原式色覚検査の大まかな流れと、
検査のポイントについて解説します。
説明
「これからいくつか図形を見せるので、もし数字や何かが見えたら教えてね」
「なかには何も書いていない図形もあるから、その場合は”見えない”と言ってね」
検査中に何も見えないページが続くと
患者さんは不安になるため、
「もし何も見えなくても心配はいらない」
とあらかじめ伝えておくことが
大切です。
検査の流れ
誰でも読める第1表を提示し、「これからこのようなページが続く」ことを確認
この際、「ただし何も見えないページもある」ことを伝えます
- 「じっくり見ればわかる」という方もいるため、患者さんの即答は求めない
- よく見ようと距離が近づきやすいので注意
患者さんが答えに詰まっても急かさず、
と声かけして下さい。
パネルD-15の流れとポイント
パネルD-15の大まかな流れと、
検査のポイントについて解説します。
説明
「まず、この色(固定されたキャップ)に一番近いと思う色を選んで隣に並べてね」
「そのまま、それぞれ隣の色に近いと思う色を並べていってね」
「キャップを持つときは色の部分を触らないように注意してね」
※手袋が用意してある施設は患者さんに装着してもらう
「キャップの裏には答えが書いてあるので見ないように」
という注意点もありますが、伝える
ことで裏が気になってしまう患者さん
もいます。
そのため、あえて伝えることはしませんが、検査中の様子はしっかりとチェックして下さい
検査の流れ
裏の番号が見えないように注意しながら、
15色のキャップを箱から取り出す
この間、目をつむっててもらっても構いません
固定されたキャップに最も近い色を
隣に並べるよう指示する
さらにそれぞれ隣の色に最も
近い色を並べていってもらう
全て並べ終わったら、本人に最終確認をうながす
確認が終わったら箱を閉めて裏返し、
本人に見えないように結果を確認する
パネルD-15は原則として2回行いますが、
1回でpassの場合は終わりにしても
問題ありません。
検査回数について、施設のルールが
ある場合はそれに従ってください。
色覚検査は患者さんへの
配慮を忘れずに
色覚検査はあまり頻度の高い検査では
ないため、検査の流れやポイントを
事前にしっかりと確認しておいて下さい。
検査者自身が落ち着いて検査を行う
ことが、患者さんの安心感にも
つながります。
色覚検査を行う際は、患者さんや保護者への配慮を忘れないように心がけます!