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レフ値が前回の完全矯正値と全く違う時に考えられる原因と視力検査のポイント

レフと完全矯正値記事のアイキャッチ画像

視力検査前に測定したレフの値が、前回の
完全矯正値と全く違っていて焦った経験は
ありませんか?

この記事ではレフ値が前回の完全矯正値と
全く違う時に考えられる原因と、その場合
の視力検査のポイント
について解説して
いきます。

この記事を書いた人

  • 歴20年の視能訓練士
  • 小児の斜視弱視、GPが得意
目次

レフ値が前回の完全矯正値と全く違う時に考えられる原因

考え込む視能訓練士のイメージ画像

今回は以下のレフごとにご紹介します。

  • レフが全く測定できない時
  • レフが遠視化する時
  • レフが近視化する時
  • レフが遠視化または近視化する時
  • レフが正視化、または近視が大幅に減っている時
  • レフの乱視度数が大きくなる、またはばらつく時

レフが全く測定できない時

レフがエラーばかりで、全く測定できない
場合には以下の疾患が考えられます。

  • 硝子体出血
  • 網膜剥離
  • 小瞳孔(DMなど)など

レフの測定光が中間透光体にある何らかの
障害をスムーズに通過することができず、
値を出すことができません。

また、糖尿病や加齢による小瞳孔の場合
にもレフが全く測定できないことがあり
ます。

確認したい主訴

  • 昨日から急に見えにくくなった
  • 雲のようなものが見える
  • 急に黒い影が見えるようになった
    などの訴えがないか、見え方を確認してみるとヒントになります。

レフが遠視化する時

レフが遠視化する場合には以下の疾患が
考えられます。

  • 網膜剥離
  • 水晶体脱臼や亜脱臼 など

近視が遠視化する例

前回のレフ値S-6.50D
今回のレフ値S-1.75D

遠視がさらに増える例

前回のレフ値S+2.00D
今回のレフ値S+5.25D

剥がれた網膜や水晶体脱臼、亜脱臼の位置
によって遠視の値が測定される場合がある
ことを知っておいて下さい。

確認したい主訴

  • 急に見えにくくなった
  • 急に黒い影が見えるようになった
  • 雲のようなものが見える
  • レンズの縁のようなものが見える
    などの訴えがないかを確認します。

レフが近視化する時

レフが近視化する場合には以下の疾患が
考えられます。

  • 核白内障
  • 円錐角膜 など

遠視が近視化する例

前回のレフ値S+1.50D
今回のレフ値S-4.25D

近視がさらに増える例

前回のレフ値S-2.00D
今回のレフ値S-5.50D

濁りが強く、水晶体が硬くなる核白内障や、
角膜が薄くなって前方に突出してくる円錐
角膜では近視化する傾向にあります。

確認したい主訴

  • 白く(黄色っぽく)濁って見える
  • 数年前から段々と見えにくくなってきた
  • 以前から白内障を指摘されている
  • (片眼で)ぼやけたり二重に見えたりする
    などの訴えがないか確認します。

レフが遠視化または近視化する時

  • 糖尿病による血糖値の変化
  • 妊娠によるホルモンや体内水分量の変化 など
    (ならない人もいる)

近視が遠視化する例

前回のレフ値S-0.50D
今回のレフ値S+1.25D

遠視が近視化する例

前回のレフ値S+1.50D
今回のレフ値S-3.00D

患者さんの全身状態によって、遠視化し
たり近視化したり安定しない場合が時々
あります。

目の屈折状態に影響する全身状態もある
ことを知っておきましょう。

確認したいこと

  • 糖尿病で血糖値が安定していない
  • 妊娠中である
    という情報があれば、レフが安定しない原因の一つとして考えられます。
先輩視能訓練士

ただし妊娠に関してはデリケートな項目なので、問診票を確認したり、他科の記録がないかを確認してみてもいいですね

レフが正視化、または近視が大幅に減っている時

前回受診時には遠視や近視があったのに
正視化している、または近視が大幅に減っ
ている時には以下の可能性が考えられます。

  • レーシック後
  • ICL後
  • 白内障術後
  • 強度近視眼の水晶体脱臼など

近視が正視化する例

前回のレフ値S-5.50D
今回のレフ値S±0.00D

近視が大幅に減っている例

前回のレフ値S-6.25D
今回のレフ値S-0.50D

特に高齢患者さんの場合、他院での白内障
手術の申し出を忘れることが時々あります。

確認したいこと

久しぶりに来た患者さんで、前回と大きく屈折が変わっている場合には、「何か目の手術を受けましたか?」と聞いてみて下さい

先輩視能訓練士

「あ〜そう言えば、◯年前に白内障の手術を受けたよ」という患者さんが時々いますよ

レフの乱視度数が大きくなる、またはばらつく時

遠視や近視度数に合わせて、乱視度数が
大きくなっていたり、ばらつく時には以下
の疾患が考えられます。

  • 角膜ジストロフィーなどの角膜変性
  • 円錐角膜
  • 白内障の進行
  • 硝子体出血
  • 網膜や黄斑の変性
  • 眼内レンズ亜脱臼 など

乱視が大きくなる例

前回のレフ値C-1.00DAx90°
今回のレフ値C-3.25DAx90°

乱視がばらつく例

前回のレフ値C-0.75DAx180°
今回のレフ値C-1.75DAx21°
C-3.25DAx157°
C-4.50DAx53°

確認したい主訴

  • ぼやけて見える
  • (片眼で)ぼやけたり二重に見えたりする
  • 白く(黄色っぽく)濁って見える
  • 数年前から段々と見えにくくなってきた
  • 以前から白内障を指摘されている
  • 急に見えにくくなった
  • 歪んで見える
  • レンズの縁のようなものが見える
    などの訴えがないか確認します。

乱視度数が大きくなっていたり、ばらつく
時は、球面度数の信頼性も低いことになり
ます。

各視力検査のポイント

視力検査を受ける女性のイメージ画像

レフの値による各視力検査のポイントは
以下の通りです。
※あくまで一例となります

レフが全く測定できない・遠視化・近視化している時

レフが全く測定できない、遠視化、近視化
する時は、完全矯正値にそれほど精度を
求めなくて大丈夫
です。

大事なこと

前回の完全矯正値と大きくかけ離れている時は、目の奥に何かしらの変化が起こっているので、視力検査以外にOCT三次元画像解析など他の検査が必要であるとすぐに気づくことが大事です。

まずは大まかな度数でもいいので、遠視寄り
なのか近視寄りなのかを見極め(矯正できる
場合は乱視も)、どのくらい視力が出るのか
を確認
します。

場合によっては、重篤で緊急手術が必要なこともあるので、すみやかに診察室へカルテを回して下さい

先輩視能訓練士

ただし、瞳孔が小さくてレフが測定できない場合には、普通に視力検査ができることが多いですよ

レフが正視化している時

レーシック、ICL手術後はレフ値があまり
信用できないので、裸眼視力からの検査が
重要になります。

例えばレーシック後の場合、レフの測定光が
削られた角膜を通過する際、不正確な数値を
拾うということが起こります。

■レーシック後のレフ値
S-1.50D=C-1.00DAx10°

■完全矯正値
1.2(1.5×S-0.25D)

上記はあくまで一例ですが、レーシック後や
ICL後には、裸眼視力に注目して視力検査
行なって下さい。

特に手術直後の検査では、レフ値の信頼性は
低くなります。

先輩視能訓練士

レフで乱視が出ていても、乱視が入らないことは多々あります

まとめ

レフ値が前回の完全矯正値と全く違う時に
考えられる原因と視力検査のポイントに
ついて解説しました。

原因はそれぞれですが、レフを測定した時点
で、目の奥に何かしらの変化が起こっている
と気づけることが大切
です。

必要に応じて検査を追加し、緊急性が高いと
感じた場合(自分で判断できない場合も同様
にはすみやかに診察にカルテを回すように
します。

先輩視能訓練士

緊急性が高いと感じた場合には、カルテを回す際に、必ず診察室にいる人に一声かけておきましょう

 

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