視力検査がうまくなる!押さえておきたいコツと困った時の対処法
視力検査が基本なのはわかるけど、時間がかかったり文句を言われたりしてスムーズにいかない…
視力検査は眼科検査の基本であり、
どの施設においても日常的に行われる
検査です。
特に新人の場合は
- 「どのレンズを入れるか?」に意識が集中しがち
ですが、検査中の声かけや患者さんの
様子をうかがうことも検査結果に影響
します。
この記事では、視力検査をスムーズに
行うための基本的なコツを解説します。
検査中に意識してほしいポイントや、
悩みがちな場面での対処法も紹介して
いるので、ぜひ参考にしてください。
視力検査で患者さんによく聞かれる3つのこと
視力検査は患者さんとの距離が近い
ため、様々なことを聞かれます。
患者さんに不安感を与えないため
にも、落ち着いて答えられるように
しておきましょう。
1.「視力検査って何を調べているの?」
「視力」や「度数」は視能訓練士に
とっては当たり前の言葉ですが、
一般的にはあまりよく理解されていない
方が多いです。
できるだけかみ砕いた言葉で、
わかりやすく説明しましょう。
- 「どのくらいまで見えるのかという視力と、一番よく見える度数のレンズを調べています」
- 「視力と度数は全く別のものです」
2.「この前もしたのにまたやるの?」
視力検査は頻度が高いため、患者さんから
「またやらなくちゃいけないの?」
と言われることもあります。
この場合は、後に控えている検査の
有無や視力検査の目的に応じて、
納得していただけるような説明を
心がけてください。
【視野検査など他の検査がある】
【手術やレーザーなどの処置前後】
【定期検診など】
必要な理由を説明しても協力が得られない場合は、無理強いせず医師に確認しましょう
3.「進行している?治る?」
視力検査では患者さんが見え方を
自覚しやすいため、
- 「前回よりも私の病気は進行している?」
- 「この病気って治るの?」
など、病気や治療に関する質問も多いです。
病気や治療についての言及はトラブルの原因となるため、避けてください
「検査の人には大丈夫って言われた!」なんて診察室でトラブルになりかねませんね…
視能訓練士の立場でどこまで患者さんに
伝えてよいのか、境界線をしっかりと
定めておきましょう。
視力検査をスムーズに行うコツ
ここでは、視力検査をスムーズに
行うためのコツを紹介します。
- あらかじめ所見や視野の状態を確認する
- コミュニケーションも意識する
事前に眼底所見や視野を確認
検査前には必ずカルテや紹介状を確認します。
視力や屈折だけでなく、疾患名や眼底所見、
視野などもしっかりと把握しておきましょう。
例えば、
- 黄斑部が障害されている
- 視野が狭くなっている
などの所見がある場合、
視標の提示方法や声かけにも配慮が
必要です。
コミュニケーションも意識する
視力検査は患者さんとの
コミュニケーションが重要な検査です。
- いきなり視標を提示して「これはどうですか?」と検査を始める
- 患者さんの応答に反応せず黙々と検査を続ける
以上のような検査をしていませんか?
検査時には必ず
と一言説明しましょう。
患者さんの応答にも都度反応しながら
検査を進めることで、信頼関係を築き
やすくなります。
視力検査中にベテランが意識している3つのポイント
ここでは、視力検査中に意識してほしい
3つのポイントについて解説します
- 目を細めていないか
- 頂点間距離は適正か
- 屈折に対して妥当な視力値か
1.目を細めていないか
検査中は常に患者さんの様子を観察
しましょう。
一生懸命答えようとするあまり無意識
に目を細めてしまう患者さんは多い
です。
そのような患者さんに対しては、以下
のように説明・声かけしましょう。
目を細めることがクセになっており、
声かけしても改善しない場合は
- 「説明や声かけをしても目を細めてしまう」
という旨をカルテに記載してください。
近視になり始めたお子さんでよく見かけます
眼鏡を作るかどうかの判断基準にもなりますね
2.頂点間距離は適正か
「頂点間距離が適切に保てているか」
という点も常にチェックしてください。
検眼枠のサイズが合っていなかったり、
レンズを多く重ねたりすると
鼻眼鏡のようにずり落ちて検査結果に
影響してしまうためです。
お顔に合った検眼枠を選ぶことに加え、
どうしてもずり落ちてしまう場合は
患者さんの手で検眼枠を支えて
もらいましょう。
屈折異常が強いほど、わずかなズレでも検査結果に影響します
3.屈折に対して妥当な視力が得られているか
視力検査中は、視力と屈折の関係性を
常に意識してください。
屈折に対して妥当な視力が得られて
いない場合、再検査して確認する必要
があります。
- 完全屈折矯正値が-6.00Dにもかかわらず、裸眼視力が0.3
- 矯正中-0.50Dのレンズを足しただけで(0.6)の視力が(1.5)まで上がった
まずは「おかしい」と思えること、次に「なぜおかしくなったのか」を考えられることが大切です
こんなときどうする?視力検査の「困った!」
ここでは、視力検査中に困りがちな
場面について、その対処法を解説します。
矯正しても視力が出ない!
前回値と比べて視力が出ない場合は、
粘って時間をかけすぎないように
注意しましょう。
度数調整などによる確認は必須ですが、
「視力が出ない」という結果も診察において重要な情報
なのです。
検査結果に自信がない場合、可能で
あれば他のスタッフに再検査をお願い
しましょう。
その場合はできるだけ早い段階で声をかけてくださいね
どのレンズを当てても「よく見える」と答える
視力検査では「具体的な聞き方」が
必要です。
例えば、レンズを当てて
- 「どちらがよく見えますか?」
という聞き方ですが、これだと「レンズ
を重ねていない方が明るくて見やすい」
と答える可能性があります。
たしかに、これは本来ほしい回答とは違いますね…
患者さんの返答がこちらの意図と
異なることに気づいたら、
などと具体的な質問に変えてみましょう。
また、
- 「レンズは多く重ねるほどよく見える」と思い込んでいる患者さん
もいます。
など、常に具体的な聞き方を意識しましょう。
「複数の解釈ができる質問」より「確実な答えを聞くための具体的な質問」をしてください
基本を押さえて視力検査をマスターしよう
視力検査は眼科検査の基本でありながら、
とても奥が深い検査です。
難しく感じる方も多いかもしれませんが、
眼科分野を深く学んできた視能訓練士
としてのスキルを発揮できる検査でも
あります。
まずは基本的な手技や考え方をしっかり
と押さえることが重要です。
その上で、失敗を重ねながらどんどん
経験値を積んでいきましょう。
「視力検査は誰がやっても同じ」ではありません!
常に考えながら行い、経験を積めば、より精度の高い結果を出せるようになりますよ