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【視力検査のやり方】「視力が出ない!」と思ったらすぐに確認すべき8つのこと

視力検査 視力出ない

視力検査中に視力が出なくて焦り、
すぐに先輩や視能訓練士を呼びに
行ってしまう経験はありませんか。

視力が出ないのは、必ずしも患者さん
の病気が進行したからとは限りません。

実は検査側のやり方に問題があった
ということもよく見られます。

今回は「視力が出ない!」という時、
先輩や視能訓練士を呼ぶ前に確認
したい8つのポイントについて解説します。

新米視能訓練士や眼科看護師が自力で
解決できるので、スムーズに外来が
回るようになりますよ。

この記事を書いた人

  • 視能訓練士歴12年(教員経験あり)
  • GP、眼底カメラが得意
目次

視力が出にくい2つの原因

視力検査中に視力が出ない原因は、

  • 患者さん側
  • 検査員側

の2つに分けられます。

視力が出ない患者さんに遭遇した際、
「これは患者さん側か検査員側か、
どちらが原因か?
」を考えて下さい。

患者さん側の原因

視力が出ない患者さん側の原因としては、
何らかの疾患が発症・進行したり、患者
さん本人の理解力に問題があったりする
ケースです。

角膜、水晶体、網膜に異常があれば視力
は出づらく、子どもの場合は心因性視力
障害や弱視も疑われます。

高齢者や小児、意思の疎通が難しい患者
さんでは検査を正しく理解できないため、
検査結果が悪く出てしまうこともある
でしょう。

検査員側の原因

一方、検査のやり方が間違っているため
に生じる視力不良は、先輩を呼ばずとも
自力で対処できます

レンズの入れ間違いや検眼枠のサイズ
違いなど、検査の不備によって視力が
出ておらず、ちょっと直しただけで
本来の視力が出ることはよくあります。

「視力が出ないのは患者さんに原因があるに違いない」

「そもそも視力が出て当たり前」

以上のような考えをやめ、検査をして
いる自分に何か原因があるのではないか
と疑いましょう。

視力が出ない時に確かめるべきこと8つ

視力が出ない時、先輩を呼ぶ前に確認
すべきことを8つにまとめたので、全て
覚えて実行して下さい。

①レンズの符号を間違えていないか

視力検査 視力出ない 原因
  • いま挿入されているレンズの符号を確認して下さい。

初心者や慣れている人でもうっかり
行なってしまうのが、プラスとマイ
ナスのレンズの入れ間違いです。

+3.00Dの患者さんに-3.00Dのレンズ
を入れてしまい
、「全然見えない」と
言われてしまうというものです。

万が一、符号が違うレンズを挿入して
しまい、患者さんに見えづらいことを
指摘された場合は、

「入れるレンズを間違えていました。失礼いたしました。」

と正直にお詫びしましょう。

患者さんに指摘されなかった場合は、
速やかに正しいレンズに交換し、視力
検査を再開します。

②乱視軸の方向を間違えていないか

視力検査 視力出ない 原因
  • 乱視軸がずれていないか確認して下さい。

乱視が強くなるほど5度のズレでも
視力に大きく影響するため、軸の角度
の確認を必ず行ないましょう。

一般に強度乱視と定義されている度数は
C-3.00D以上ですが、C-1.00D以上で
あれば要注意
です。

なお、乱視レンズを検眼枠に入れてから
動かすと、患者さんは見ている世界が
大きく歪み、気持ち悪くなる可能性が
あります。

乱視軸を動かす際は検眼枠を外した状態で行なうか、患者さんに目を閉じてもらうといいでしょう。

できれば乱視レンズを入れる前に角度を
合わせ
、一発で正確な軸の位置に挿入
して下さい。

③検眼枠はPDに合っているか

視力検査 視力出ない 原因
  • PDと検眼枠のサイズが合っているか確認して下さい。

検眼枠を選択する際、患者さんのPDと
検眼枠のサイズを選び間違える
と視力に
影響を与えます。

顔に合っていない検眼枠を掛けた場合、
瞳孔中心と検眼レンズの光学中心がずれ
たり
、枠がずり落ちたりして見えづらく
なることがあるからです。

オートレフや前回値のPDと検眼枠に
書かれたPDが合っているか確認して
下さい。

④強度近視・強度乱視のレンズの挿入位置は合っているか

視力検査 視力出ない 原因
  • 近視のレンズが検眼枠の一番手前に入っているか確認して下さい。

検眼レンズはどの位置に入れても良い
というわけではなく、不適切な場所に
入れると視力に影響を与えます。

近視のレンズは目に近いほど矯正効果が
高くなる
ため、一番分厚いレンズは目に
最も近い部分に挿入します。

また、乱視レンズは外側に挿入しますが、
強度乱視の場合は検眼枠の真ん中や
なるべく目に近い箇所に入れて
下さい。

近視・乱視が強くなるほどレンズの位置は
重要なので、適切な位置に挿入し直して
再検査をしましょう。

⑤左右眼は間違えていないか

視力検査 視力出ない 原因
  • 「いま検査しているのが右眼か左眼か」を再確認して下さい。

左右眼の間違いは、

「頭では分かっていても普段の癖で逆の目を検査してしまう」

ことから生じます。

視力検査の順を「右→」で習慣化していると、「→右」で測定すべき患者さんにも、うっかり左眼を遮蔽して検査を始めてしまうことがあります。

頭では「左から検査する」と分かっているので、カルテは左眼の数値を見ていますが、遮蔽版は左眼に入っているため、左眼に入れるべきレンズをつい右眼に入れてしまうのです。

「視力が出ない」と思ったら必ず左右眼
の確認をしましょう。

⑥検査している患者さんは本当に本人なのか

視力検査 視力出ない 原因
  • 視力が出づらかったり前回値と変わったりした場合、患者さんの取り違えの可能性を考えて下さい。

検査員は患者さんをお呼びした際に、
「返事をしてこちらに来たのだから
本人のはずだ」と思うでしょう。

しかし、

  • 全くの別人がやって来て検査を始めてしまった
  • 全くの別人が診察室に入ってしまった

という患者さんの間違いはよく起こり
ます。

特に高齢の患者さんは耳が遠かったり
理解力が乏しかったりします。

患者さんの呼び込み間違いは重大な医療事故を招く原因になるため、名乗ってもらうなどして本人確認を徹底して下さい

⑦眼瞼は目にかかっていないか

視力検査 視力出ない 原因
  • 患者さんの眼瞼が瞳孔領にかかっていないか確認して下さい。

眼瞼下垂がある人は眼瞼をテープで
上げるか
、検査員または患者さんの
指で挙上しながら視力検査をする必要
があります。

患者さんの回答の反応が悪い時は、
眼瞼が視界に影響をしていないか
確認しましょう。

なお、テープ等で挙上をして視力検査
をしたら必ずカルテに記載し、次の
検査員や医師に分かるようにして情報
共有します。

流涙にも注意

流涙も検査員側の対処次第で視力の上下があります。

涙目は目視や「涙っぽいですか?」と本人に聞いて確認できます。

必要に応じてティッシュを渡し、涙を拭き取りながら検査して下さい。

⑧散瞳していないか

視力検査 視力出ない 原因
  • 検査眼が散瞳していないか確認して下さい。

散瞳状態では視力は出にくくなるので、
「視力が出ない、何かおかしい…」と
思ったら瞳孔径の確認も必要です。

他院からの紹介状を持参して来院した
方、手術後の自宅点眼でうっかり非術眼
を散瞳してしまった方など、何らかの
理由で散瞳中の患者さんがいます。

カルテに追加の記載がない確認し、
何時頃に散瞳したか、患者さんへの
聞き取りやペンライトで散瞳の状態
を記録して下さい。

※正常な状態の瞳孔径は約3mm~5mmですが、散瞳剤の点眼後は6mmから8mmになります。(個人差あり)

先輩視能訓練士

散瞳中の場合はピンホール板を使用しての視力検査が有効です

まとめ

今回は、視力検査中に視力が出ない時に
確認すべき検査員側の原因について解説
しました。

視力が出ないからと言ってすぐに先輩や
視能訓練士を呼ぶのではなく、まずは
考えられる原因を確認
しましょう。

原因が分かれば冷静に対処ができるよう
になり、先輩や視能訓練士を呼びに行く
手間が省けて、スムーズに検査が進められ
ます。

 

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