今の職場に悩んでいたら・・・
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何となく視力検査をしているけど、近視や遠視に詳しいわけじゃない。
でも知っていると便利な知識や、役に立つ知識を学びたい。
以上のような眼科勤務の看護師のために、視能訓練士が近視・遠視・乱視のあれこれを解説します。
知っておくと視力検査が少し面白くなりますよ。
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「屈折異常」とは、
の3つを指します。
視力検査の理解に必要な屈折異常について解説します。
正視は遠方からの光がぴったり網膜上で像を写す状態を言います。
近視とは、
遠くから来る光が網膜の前方で像を写す状態
を言います。
近視は網膜の手前でピントが合う状態なので「近方ははっきり見えるが、遠方はぼやけて見える」のです。
近視は球面レンズのマイナスレンズにより矯正します。
遠視とは、
遠くから来る光が網膜の後方で像を写す状態
を言います。
遠視はピントを合わせる力を使うと「正視と同じ状態にできる」ので、遠視の人の多くは正視と同じように裸眼で1.2以上の視力があります。
遠視は球面レンズのプラスレンズにより矯正します。
乱視とは、
遠くから来る光が、一点ではなく線のように引き伸ばされて像を写すため、焦点を合わせられない状態
を指します。
乱視は、乱視度数の強さと線状に伸びた像の方向によって物がぶれて見えるため、視力低下を引き起こします。
乱視は円柱レンズで矯正します。
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視力検査とひとくくりにしていても、視力検査にはいくつか種類があります。
カルテに記載されている数字や文字が何の視力で、何を示しているのか解説していきます。
カルテに
Vd=0.2(1.2×S-1.75D C-0.50D Ax180°)
と、記載されていた場合の視力検査の結果の見方は下図の通りです。
用語 | 意味 |
Vd:Visus dexter | 右眼視力のこと RV:Right visonと書くことも |
Vs:Visus sinister | 左眼視力のこと LV:Left visionと書くことも |
かっこ外の数字「0.2」 | 裸眼視力のこと 矯正されていない状態の視力 |
かっこ内に入っている数字「1.2」 | 矯正視力のこと 眼鏡・コンタクトレンズで完全矯正された視力 |
「S」から始まる数字 | 球面レンズのこと マイナスは近視 プラスは遠視 |
「C」から始まる数字 | 円柱レンズのこと 乱視を表す だいたいマイナスで表記されている |
「A」から始まる数字 | 乱視の軸(角度)のこと 1~180°まで |
裸眼視力は矯正レンズや眼鏡、コンタクトレンズを使用せずに測る視力のことを指します。
会社の健康診断や学校検診で測っているのは裸眼視力になります。(または眼鏡視力)
眼科においてあまり重要視することはありませんが、患者さんから聞かれることが多いです。
裸眼視力が重要なのは、
などです。
運転免許証の更新の際には眼鏡使用か否かの判断するのには重要な検査なので、希望があれば片眼・両眼での視力も測りましょう。
施設にもよりますが、再診の検査では裸眼視力検査をスキップすることも多々あります
オートレフラクトメーターなどを参考に検眼レンズにて矯正し、最高視力が出た時の視力値を完全矯正視力といいます。
完全矯正視力とは、検眼レンズを使って近視・遠視・乱視を「完全に矯正し」、「正視と同じ状態を作る」ことを指します。
眼科において完全矯正視力は最も重要で、疾患の進行や弱視の判断、眼鏡やコンタクトレンズ処方の際に必要です。
眼科医や視能訓練士からから「〇〇さんの視力いくつだった?」と聞かれたら、一般的には完全矯正視力を指します。
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調節は無意識のうちに働く力であり、様々な距離の対象に焦点を合わせるための機能です。
調節力はピントを合わせる力を表したもので、加齢により低下していきます。
調節力の強い小児や長時間のスマホ作業の多い若い世代では、視力検査に大きな影響を及ぼすことがあります。
40歳代以降は調節力が弱くなり、近くの作業をする距離でピントが合いにくくなるのが老眼です。
各年齢における調節力の推移の目安を下表に示しますが、個人差があります。参考程度で見ておいて下さい。
調節力の目安
年齢 | 調節力D (ピントが合わせられる距離) |
10歳 | 12D(遠方から眼前8.3cmまで) |
20歳 | 9D(遠方から眼前11cmまで) |
30歳 | 6D(遠方から眼前16cmまで) |
40歳 | 4D(遠方から眼前25cmまで) |
50歳 | 2D(遠方から眼前50cmまで) |
60歳 | 1D(遠方から眼前100cm) |
40代未満の人たちが何不自由なく遠くも近くも見えているのは、すべて調節力のおかげなんです!
過矯正とは「完全矯正から行き過ぎてしまった状態」のことで、
になります。
近視の過矯正
遠視の過矯正
近視の過矯正は目に負担を与えるので、原則として避けなければいけません。
色の屈折率を利用した検査が赤緑試験で、視力検査後に過矯正でないかどうかの目安として行ないます。
人間が見ている光は色によって屈折率(光を曲げる力)が異なり、波長が短いほど屈折率は大きくなり、波長が長いほど屈折率は小さくなります。
赤(波長が長い) | 屈折率が高い |
緑(波長が短い) | 屈折率が低い |
赤緑試験では、赤と緑のどちらがはっきり見えるかを聞いた時に、患者さんの答えが「赤」もしくは「同じくらい」と返答があれば過矯正ではないかもしれないと判断します。
赤緑試験は患者さんの年齢によっては精度が低いため、実施していない施設も多いです
今回は筆者の知識と経験に基づき、屈折の基礎となる近視・遠視・乱視について解説しました。
特に調節力の理解は難しいと思いますが、視力検査に多大な影響を与えます。
暗記する必要はありませんが、「そういうものがある」ということだけ頭に留めておいて下さい。
屈折のメカニズムを知れば視力検査の理解も深まりますので、ぜひ勉強してみて下さい。
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