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【第4巻:眼科医療事務が覚えること】 〜眼科における診療報酬算定の注意点〜】

眼科 医療事務 覚えること

眼科の医療事務の中で、診療報酬の算定に細かなルールが多いと感じている人は多いのではないでしょうか。

そこで今回の記事では、眼科のレセプトの特徴や算定の注意点についてまとめました。

これから眼科のレセプトに携わる医療事務の人にとって、必ず参考になる内容となっていますので、最後までお読みください。

この記事を書いた人

  • 医療事務ライター
  • 40代 女性
  • 医療事務歴 12年
  • 眼科医療事務歴 5年
目次

眼科の診療報酬算定について

医療事務の最も重要な業務の一つに、診療報酬の請求(レセプト業務)があります。

国民皆保険制度を使用した保険診療を選択している以上、保健医療機関は算定ルールにのっとって診療報酬を請求しなければなりません。

診療科ごとに傷病名が異なるように、診療報酬の算定にも個別の特徴があり、特に眼科は審査機関の査定が厳しいといわれています。

眼科の細かな算定ルールに慣れるまでには、他科経験者の医療事務でもかなり戸惑うことでしょう。

医師が付ける傷病名はもちろん、検査や処置、手術への理解を深めることが、診療報酬の正しい算定への近道です。

眼科における診療報酬算定の主な注意点

【投薬】

院外処方が主流となっていますが、患者さんの利便性を考えて、院内で薬を処方している眼科は多く見られます。

特に適応が限定されている薬剤については

  • 医師に確認して適切な傷病名を記載する
  • 原則からはずれる場合には注記を記載する

ことが重要です。

白内障手術などの術前点眼の算定では、術前の抗生剤点眼液投与については、必ず注記(コメント)を記載します。、処方箋料や院内調剤料は算定できません。

内服薬の処方は最大90日となっており、外用薬(目薬や軟膏等)もそれに準じた対応が求められています。

例えば、

1ヶ月分の分量(4週間両眼点眼)の場合、1日6回点眼であれば20ml、1日4回点眼なら15mlなどが目安です。

この処方料の目安を大幅に超えている場合には、査定の対象となります。

【検査】

よくある間違いの一つに、屈折検査と矯正視力検査の同時算定が挙げられます。

  • 同時算定が不可(再診時の屈折検査と矯正視力検査など)
  • 両眼での算定不可(眼底カメラなど)
  • 月に一度のみ算定可(汎網膜硝子体検査など)

など細かな算定ルールがあるので、診療報酬改定後は特に注意しましょう。

例えば、

初診時(屈折異常の病名が必要)と眼鏡処方箋交付時、屈折値が変化する手術後1回以外は同時算定は認められていません

調節検査をルーチンのように初診時の患者さんへ算定すると査定の対象となります。

コンタクトレンズ処方に対する査定は診療報酬改定のたびに厳しくなっているのが現実です。

検査料は施設基準によって異なるため、勤務先クリニックの施設基準については必ず確認して下さい。

【傷病名】

検査のためのいわゆる「レセプト病名」はもちろん「疑い病名」もできるだけ減らすような努力が求められています。

眼科では、左右の書き漏れや、急性の病名が漫然と長期間転帰されていない例がよく見られます。

「傷病名は医師が付けるものである」という基本的なルールはクリニック全体で意識を統一しておくべきことです。

診療開始年月日、終了年月日、転帰の記載を適宜見直して傷病名を整理することが重要です。

【手術・麻酔】

手術に関する算定ルールは非常に多く存在するため、本記事ですべてに触れることはできません。

基本的なことは、

  • 必ず左右上下などの手術部位の記載が必要である
  • 手術ではなく処置となる場合がある
  • 症状詳記が必要な物がある

などが挙げられます。

例えば、

麦粒腫、霰粒腫、結膜結石など、眼瞼ごとに算定する手術では眼瞼の左右上下を明確に記載する必要があります。

また、結膜下異物除去では、結膜下に入り込んだ異物を結膜切開などを行って除去した場合のみ手術として算定できます。

切開を伴わない場合は、処置料として算定するように注意しましょう。

裂孔原性網膜剝離や円盤状黄斑変性症等に対する汎網膜光凝固の場合は、施行日や施行内容について症状詳記が必要です。

レセプト点検と医療事務ができる対策

レセプト点検の査定とは

「査定」とは医療機関からの請求に対して、審査支払機関が不適当と判断した内容を減点し、調整された額で支払われることです。

クリニックで作成したレセプト(診療報酬請求書)は社会保険と国民健康保険に分けてそれぞれの審査支払機関へ請求します。

しかし、査定された場合には再請求できず、実施した医療行為への対価が得られません。

レセプト点検の返戻とは

その際に記載した内容に対して何か誤りや疑義があった場合に、一方的に審査支払機関から差し戻されることを「返戻」と呼びます。

返戻は差し戻されているため、原因を把握、追求して再請求できます。

クリニックの収入減に直結する査定だけでなく、返戻が続けばクリニックの信頼が損なわれるため、できるだけ防ぐ必要があります。

最近では、レセコンにチェッカー機能が付いていることは当たり前で、審査審査機関側も医療費削減を目的とした機械的なチェックを増やしています。

レセプトを点検する際には、

  • 病名や部位の漏れ
  • コメント漏れ
  • 投与期間の確認

などを今まで以上に注意深く行うべきでしょう。

査定・返戻を防ぐために医療事務ができること

眼科の細かな算定ルールに慣れて返戻を少なくするためには

  • クリニックの過去の返戻レセプトから学ぶ
  • 同じ返戻をされないように、スタッフ間で共有する

ことが重要です。

特に、レセプトを担当できる医療事務が複数名いることで、ダブルチェックや意見や知識の交換も院内で可能です。

また、診療報酬改定前後には、さまざまなレセプトに関する勉強会も開かれます。

クリニックの経営者(医師など)と相談しつつ、勉強やスキルアップに時間やコストをかけることは、クリニック全体のモチベーション向上にもつながります。

自身で得た知識は医療事務だけでなく、コメディカルスタッフとも共有すれば、正しい医療行為への対価を得られるクリニックへと成長していくことでしょう。

まとめ

診療報酬請求書の作成と点検は、医療事務にとって最も重要な業務です。

特に、細かな算定ルールが定められている眼科では、チェックするポイントが多く大変な作業となります。

最終的なレセプトの点検ですべてのチェックはできません。

日常の業務を通して適正な診療報酬を算定できるようになることが、査定や返戻を防ぎクリニックの力になれるのだと考えます。

 

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