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医療事務にとって、診療報酬への理解を深めることはとても重要です。
受付や患者さんの誘導ができるようになれば、診療報酬の請求義務に携わってこそ医療事務ですね。
そこで今回の記事では、診療報酬のしくみと実際の請求の流れについてわかりやすく解説していきます。
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日本には独自の制度である、国民皆保険制度に基づいた「診療報酬」というしくみがあります。
診療報酬とは、医療機関に診療行為の対価として支払われる費用です。
厚生労働大臣が定めた「医療行為」ごとに点数が定められていて、点数をもとに「1点=10円」として計算します。
医療行為の点数×10円=医療費の合計金額
診療報酬の点数や「1点=10円」というルールは、日本全国で統一されています。
医療機関へかかった際の医療行為を点数化して合計し、1点=10円として計算したものが、医療費の合計金額となります。
国民皆保険制度とは、日本国民全員に公的医療保険への加入を義務づける制度です。
全ての人が公的医療保険へ加入して保険料を支払うことで、お互いの負担を軽減しています。
医療保険制度には種類があり、職業や年齢によって主に次の5つに分けられます。
保険 | 対象 |
国民健康保険 | 自営業・無職など、企業に属していない人が加入 |
全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ) | 中小企業で働く人とその扶養家族が対象 |
共済組合保険 | 公務員とその扶養家族が対象 |
組合管掌健康保険 | 大企業で働く人とその扶養家族が対象 |
後期高齢者医療制度 | 75歳以上、または65歳以上で障害を持つ高齢者が加入 |
医療保険制度ごとに、年齢や所得に応じた自己負担割合が決められています。
つまり、医療機関の窓口で支払う金額とは
診療報酬の合計点数×自己負担割合
です。
クリニックの人件費や医薬品、各種医療材料や機器の購入、施設の維持管理にかかる費用などのすべては、診療報酬でまかなわれます。
患者さんの窓口支払額以外の診療報酬については、診療報酬明細書(以下レセプト)を作成して保険者へ請求しなければなりません。
この診療報酬請求業務は、医療事務の最も重要な仕事です。
具体的な診療報酬請求の流れを見ていきましょう。
検査や処置、処方箋の発行などの診療行為ごとに定められた診療報酬をカルテから読み取ります。
この時に注意したいのが、診療報酬を算定しすぎたり、算定が漏れてしまったりすることです。
眼科は特に検査や処置の種類が多いため、チェックシートを作る、医師に確認するなどして漏れなく算定するようにしましょう。
先ほども述べたとおり、患者さんごとに加入している保険や負担割合は異なります。
保険証を確認して、算定した診療報酬と負担割合をもとにレセプトコンピューター(以下レセコン)へ入力します。
初診時の自己負担額の計算
初診料 | 288点 (2回目以降は再診料 73点) |
屈折検査 | 69点 |
矯正視力検査 | 69点 |
精密眼圧測定 | 82点 |
細隙燈顕微鏡検査(前眼部) | 48点 |
処方箋料 | 68点 (一般名処方加算1 +7点) |
初診時の自己負担額合計 | 631点 |
初診時の自己負担額は診療報酬の合計点数が631点であることから
631点×10円×3割=1,890円
となります。
3割負担の患者さんには、クリニックの窓口でこの金額を支払って頂きます。
クリニックへは診療報酬全体の3割しか入ってこないので、残りの7割を請求するのがレセプト請求業務です。
毎月1日から月末までの診療報酬を計算して、翌月10日までに請求しなければ残りの7割は支払われません。
一般的に医療事務が月初に忙しいと言われるのは、レセプト請求するためにレセプト作成を行なうためです。
医療機関はレセプトを作成して、保険者へ直接請求するのではなく「審査支払機関」を通して請求します。
審査支払機関とは、保険機関から医療機関へ診療報酬の支払いの中継役を担っており、レセプトの内容が正しいかどうかを公正な視点から精査した上で支払う第三者機関です。
審査支払機関には次の2つがあります。
社会保険診療報酬支払基金(支払基金) | 法人で働く人協会けんぽや健康保険組合に加入している人のレセプトの内容を審査する機関 |
国民健康保険団体連合会(国保連合) | 国民健康保険と後期高齢者医療制度のレセプト内容を審査する機関 |
審査支払機関が精査後、精査済みのレセプトを保険者が受け取り、診療報酬が審査支払機関から医療機関へと支払われます。
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診療報酬は誰がどのようにして決めて、いつ更新されるのかについても知っておきましょう。
診療報酬は
によって決められています。
全体的な診療報酬の改定率は、予算編成に合わせて内閣が決定します。
社保審によって診療報酬改定の基本的な方針が決定され、中医協での審議へと移ります。
中医協は、
が委員となって構成されており、厚生労働大臣の諮問に対して答申する協議会です。
医療を取り巻くさまざまなデータのみならず、社会経済指標も参照して話し合われます。
診療報酬の点数は、日本の経済状況や医療技術やサービスの進歩などを考慮し、原則2年に一回見直されます。
ニュースで耳にする「診療報酬改定」が診療報酬の見直しです。
診療報酬が算定できるようになった例
令和4年度の改定では、責任者を置いて組織的に感染防止対策を取っている医院は、患者さん1人ごとに月1回「外来感染対策向上加算」が算定できるようになりました。
診療報酬が引き下げられた例
眼瞼下垂手術等で算定できる「短期滞在手術等基本料Ⅰ」は(イ)(ロ)に分類され、全身麻酔でない場合の診療報酬は引き下げられています。
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診療報酬のしくみや請求の流れについて解説してきました。
医療従事者にとって、2年に一回改定される診療報酬への理解を深めることはとても大切です。
今回の記事を参考に、眼科における診療報酬請求事務の流れを再確認して、職場でのスキルとして活かして下さい。
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