【Q&A】GPのよくある質問総まとめ① 眼瞼挙上/加入度数/GPのコツ
オープンチャット視能訓練士軍団(仮)に寄せられたGPに関する質問・回答を読みやすく加筆修正したもの①です。
個人の考え、施設による違いがあることをご理解の上、明日の臨床にぜひお役立て下さい!
なお、本記事の回答はあくまで一例です
これらの回答のみが正解、というわけではありませんので、ご留意下さい
視能訓練士軍団(仮)についてはこちらからどうぞ↓
眼瞼挙上をするコツ
Q. 緩みのない皮膚の眼瞼挙上をするコツは?
緩みのない上眼瞼の挙上がやりづらいので、何かコツがあったら伺いたいです
上眼瞼の皮膚が緩んでいないタイプの眼瞼下垂だと、眼瞼挙上がうまくできません。
瞼裂幅が小さいとか、皮膚がピンと張った眼瞼下垂の挙上が難しいです。
瞳孔にかからないよう挙上すると瞬目できなくなり、瞬目できる程度だと挙上の意味がないくらいしか挙がらず、苦戦してしいます。
【回答】
- 前回と同じくらいの範囲まで取れていたら良しとする
- たるんでいる部分しか挙上しない
- 本人にできるだけ大きく開瞼してもらうよう伝える
前回値があれば、それと同じくらいの広さを取れていたら良しとしています
- 私はたるんでる部分しか挙上していない(あとは声かけで対応)
- 検査開始前に「眼を細めると異常でなくても異常と判定されてしまうので、大きく開けて頂けると助かります」とお話しすると、それだけで随分改善することがある
2本のテープをV字型に貼って挙上すると解決することがあります
Q. 不十分な眼瞼挙上で検査結果に影響したら?
眼瞼挙上しきれず、前回の結果より上方が沈下してしまいました
瞳孔が半分近く隠れている方のGPも、前回結果より上方が沈下してしまいました…
テープの貼り方が悪いのか、他に何か手があったのか分かりません。
声かけするも開瞼具合は変わらず…GPはあまり数をこなしてないので、手技不足もあると思います。
【回答】
- 普通に挙上して下方視野を取る→思いきり挙上して上方視野を取る
下方の視野は普通に挙上して取り、情報の視野は瞬目できないくらい挙上して急いで取ります
- まずは普通に挙上してまぶたの影響がない下半分の視野を取り、その後おもむろに、瞬目もできないくらいグッと挙げて、上半分をさっと取ります。
- その後、また普通に戻してレンズ入れて下半分を取り、やはり眼瞼が上方の視野にかかるようなら、思いきり挙げて上半分を取ります。
- それでもダメなら「眼瞼挙上するもここまで」などコメントを残します。
挙上の必要な部分と不要な部分に分けて、何度も患者さんの方に行き来しながら測定することになると思います
Q. 挙上のテープをはがす時に眉毛が抜けてしまう
高齢の方の眉毛が伸びていて、テープをはがす時に一緒に抜けてしまいます
高齢の場合、眉毛が伸びていてはがす時に気をつけているものの、眉毛が抜けたり痛がったりして、申し訳ないなぁと思っています。
何かティッシュか挟んだりしていますか?
【回答】
- テープを長めにするとはがしやすい
- 「申し訳ない」という思いが伝われば大丈夫
- 「ごめんなさい~?」と言えばたいていは問題ない
テープを長めにして貼ると、挙上もしやすく比較的はがしやすいと思います
- 患者さんはそんなことよりも正確な検査をしてほしいと思っているはず
- 申し訳ないと思いながら剥がしているその気持ちを嬉しく思っているのでは
- 眉毛は「引っ張っちゃうかも!ごめんなさい!」と言えば、「全然痛くないから〜ビリッと剥がしちゃっていいよ〜」って言う人が多い気がする
まれに「挙上するな」という神経質な方もいますが、だいたいは多少痛くても「しっかり挙上して検査してほしい」と思っている人がほとんどです
加入について
HFAにも同じ質問カテゴリーがあるので『視野検査の補正レンズについて』も併せてご覧下さい。
Q 補正レンズが3枚になる時はどうする?
強度近視の際に レンズが3枚になる時はどのように 矯正されてますか?
例えば 、
50代で S-11.50D=C-2.50DA180
の時は どのように選択されますか?
通常はS-8.50D=C-2.50だと思うのですがレンズがS-8.00とS-0.50 C-2.50の3枚になってしまいます。
【回答】
- レンズが2枚になるように少し等価球面する
- 視力検査の時点で予測する
少し等価球面してレンズを1枚減らしたり、弱めるか強めるかしたりして見やすい方のレンズを選択します
元の度数 | S-11.50D=C-2.50D |
少し等価球面する | S-9.0=C-1.50D |
等価球面せず球面を上げる | S-9.0=C-2.50D |
等価球面せず球面を下げる | S-8.0=C-2.50D |
- 視力検査の時点で、GP用に加入したら2枚にできるか考えて検査行う
強度近視眼の0.5D程度のずれは検査結果にそれほど大きな影響を与えないことが多いです
Q 多焦点IOLの加入度数は?
多焦点IOLの患者さんにはいくら加入していますか?
通常通り+3.00Dして見やすくなったらそのまま続行していました。
年齢による差もあったら教えて頂きたいです。
【回答】
- 近見を重視した多焦点IOLであれば遠見矯正下で実施しているが、不十分であれば+3Dしている
- 最近では三焦点も含めて近方焦点が40センチ以降となるので加入している人が多い
- 年齢による印象は特になし
眼内レンズ挿入眼になっている時点で、年齢による加入の差は考慮しなくて良いかと思います
Q 多焦点眼内IOLの近点が50㎝の場合は?
近方焦点が50cmなら+1D加入でも理論上いいのでしょうか?
それとも①遠見矯正②+1.00D②+3.00Dでそれぞれ試して1番良い見え方で試すのが良いのしょうか。
また、検査中に瞳孔径が変わる方だと回折の影響受けて見え方変わったりするのでしょうか。
【回答】
理論上はOKだと思います
- 多焦点の近見視力は裸眼、遠見矯正下、近見矯正下と測定し、その際、それぞれの矯正視力を比較して参考にしている
- 回折型の場合、極端に縮瞳していなければ近見への影響はあまりないかと思う
多焦点IOLは設計によっても変わるため、近見視力チェックに時間をかけすぎないようにします。+2.00D前後を目安にしてもいいかもしれません
GPの取り方のコツ
Q 中心暗点を取るタイミングは?
GPの中心暗点を取るのはどの指標サイズまで終えてからでしょうか?
I/4の視野が中心まで囲えず、耳側しか見えない場合、中心暗点はどのタイミングで取ればよいですか?
I/4のプロットを取った後でしょうか。それともI/4で中心の反応がないと分かった時点で、先にその一つ前のII/4で暗点を取るべきでしょうか。
【回答】
- Ⅰ/4が耳側しか見えないことがわかったら、Ⅰ/4内にⅠ/3がないかを探す
- 耳側の残された視野の測定が終わったら、Ⅴ/4でマ盲点に提示
- お返事がないことを確認した上で、中心暗点を取る
- 全体を見てその他のイソプターを取る
Q 中心10度以内の視野を取るコツは?
中心10度以内の視野をうまく取るコツがありますか?
取る際も視野が狭すぎて、プロットが重なったりしてやりづらいのですが、うまくやるコツとかあれば教えてください。
定期的にGPのオーダーが出ますが、色変で中心10度あるかないかの患者さんは、視力が変わってないのに毎回GPをやる必要ってあるんでしょうか?
【回答】
中心10度しか視野が残っていない場合、視標をごくゆっくり動かすことが大切です
- このケースの視野の形は断崖絶壁のとても 小さな島のようなものなので、イソプターが重なってしまうのは当然のことです。
- 得られたプロットのまま、イソプターをつないでいいと思います。
中心視力は変わっていなくとも、視野狭窄がさらに進んでいる可能性があります。視機能の評価をするためには、定期的な視野検査は必要かと思われます
GP質問総まとめ②はこちら↓
GP質問総まとめ③はこちら↓