【Q&A】GPのよくある質問総まとめ③ バイアス/予約時間/GP苦手
オープンチャット視能訓練士軍団(仮)に寄せられたGPに関する質問・回答を読みやすく加筆修正したもの③です。
個人の考え、施設による違いがあることをご理解の上、明日の臨床にぜひお役立て下さい!
なお、本記事の回答はあくまで一例です
これらの回答のみが正解、というわけではありませんので、ご留意下さい
視能訓練士軍団(仮)についてはこちらからどうぞ↓
こんなときどうする?
Q GPの意味について検査者のバイアスが入ってしまう…
GPをどこまで取るべきか、そもそもGP取る必要があるのか、GPの意味があるのかなど、私自身のバイアスが入ってしまいます
細かいとこまで正確に取る必要ってどこまでありますか?
緑内障に関しても、頭蓋内疾患に関してもHFAの方が発見も経過見るのも優秀な中、あまりGPに強い意味を感じないことがあります。
患者の全体の視野を正確に知るというのはわかるのですが、知って何か特別できることはないんじゃないかと思って…
ごく一部の固視の悪い人に、というのも、結局GPでも固視が悪い不正確な結果しか望めない気がしています。
検者(私)のバイアスがとても大きいです。
【回答】
- 疾患に応じてHFAとGPを使い分けることが大事
- GPでないとダメな患者さんもけっこういる
症例によっては最初からGPの方がいいこともあります
- 色素変性の患者さんの初めての視野検査のオーダーがHFAだと、GPとった方がいいのにな~と思ったりする
- 静的視野では機械がどんどん光を呈示するので、声かけしてもどうしてもつられて目を動かすけど、GPなら固視良好な人もいる
- HFAがうまくできない人ってわりと多く、果たしてこの信頼性に全く欠けるデータで、治療方針を立てるのはどんなものかな、と思うことが多々ある
HFAができない人でもGPなら精度の高い検査ができるし、HFAで取りこぼしてしまうような患者さんを救うことにもなる
HFAでなければわからない欠損や、GPでなければ経過がわからない視野もあるので、症例に応じて併用できるのが望ましいです
Q 反応がばらつく時はどうする?
患者さんの応答がばらついてプロット位置が不安定になってしまいます
【回答】
アームを動かすスピードなど指標の出し方に誤りがないか注意します
- アームを動かすスピードが早すぎないか
- 視標を前のイソプターの外側から呈示しているか
- 視標を呈示して、反応がないのを確認してから測定する。
眼底の状態によっては正確に取れないことも多いので、「反応にばらつきあり」などコメントに残して、だいたいの位置をプロットすれば大丈夫です
Q 補聴器を使用している場合は外してもらうべき?
補聴器がハウリングしている時は外してもらった方がいいでしょうか?
どうも補聴器と顎台の金属が反応してハウリングのような音が検査中ずっと鳴っていました。
割と大きな音がずっと患者さんの耳元で鳴っていたので気になりました。
補聴器を外すと検査の際に不自由かと思い、補聴器を付けたままで検査を続けたのですが、補聴器を取ってもらってから検査をした方がよかったのでしょうか?
【回答】
うまく検査ができれば、補聴器はあってもなくてもいいです
- 他の患者さん等のご迷惑にならなくて、ご本人も気にならないようならそのまま検査続行でもいいかもしれない
- あるいは補聴器外して耳元で大声で話しかければ聴こえるようなら外してもいい
- 検査に慣れている方か、そうでないかによっても変わってくる
- ご本人の様子を見ながら臨機応変でいい
補聴器を外している場合、話しかける必要があるたびに相手の耳元まで移動しなければいけないので、かなり非効率となります。
GPに関係なく補聴器のハウリングは起こりますが、ご本人は気にしていないことが多いような気がします。
Q 固視困難な場合
GPの際、固視標を見失ないやすかったり、そもそも見えない方の誘導でアドバイスやポイントはありますか?
自分なりに、固視筒を覗きながら、口頭で伝えたりしていますが、中心が見えない方はとても目線が動きやすくとても難しいです。
仕上がった視野を見ていつも悲しくなります。自分の技術不足ですが、ご教授いただければ幸いです。
【回答】
- ズレる都度、声かけで誘導する
- 検査前に固視を誘導し「まっすぐの位置」を感覚的に覚えてもらう
- 「十字」をイメージしてもらい、十字の中心を見るようにしてもらう
- どうしても難しい場合はズレたまま測定し、コメントに残す
方法①
- 「目をまっすぐにして測定します。目玉をまっすぐにして下さい」と伝える
- 鏡筒を覗きながら、もう少し右に左にと声をかけて、大体真ん中に来るようにしてから、「この位置で測りたいので、この位置で目をストップしていて下さい」と言う
- 目が動いてきたら「先ほどの位置にお願いします」と目を真ん中に持ってきてもらう
方法②
- 固視灯が見づらい方には自分の正面に十字をイメージしてもらい、その交わっている部分を見るように声掛けをする
- 無理にまっすぐにせず、ご本人の自然な位置で目を動かさないよう指示して、そのままの位置で測定
- 最後にⅤ/4にて角膜反射を見て大体の角膜中心の位置で×印をプロット(×印を固視しての視野、とコメント)
↑中心からはズレるが、再現性のある視野が取れる。昔某大学病院で習った方法
Ⅴ/4を提示し残存視野の見えている部分で追ってもらい、鏡筒から覗いてだいたいまっすぐになったところで、「今から光(Ⅴ/4)を消しますが、今向いている場所で目の動きを止めていて下さいね」と声をかけていました。
予約時間について
Q. 検査予約時間
クリニックの方にお伺いしたいのですが、GPは何分で枠を取ってますか?
【回答】
当院は今はCO1人なので、片眼30分設定。実際はそんなにかからないのですが、眼鏡処方や小児の患者さんが続いたりすると対処できなくなるため
- 当院では30分に1人
- 私は今の所も、前のところもHFAは30分、GPは1時間
- 1時間で患者さんの検査室への入退室をすませ、イソプターを繋ぎ提出できる形にする、という感じ
- CO2人の時は初めてのGPや、DR+glaみたいに複雑な視野のときは両眼1時間で、それ以外は30分。ちなみにハンフリーは予約なし
【悩み】GPが苦手
【悩み】 GPできなさ過ぎて視能訓練士辞めたい
GPが出来なさすぎて視能訓練士を辞めようかと悩んでいる者です
やり始めて3年ほどになりますが、一向にコツが掴めず諦めかけています…
【回答】
- 精度の高い前回値が必要
- 患者さんとのコミュニケーションが大事
- 慣れが必要
- 他の検査結果から視野を予測することが大事
習熟したCOチームでやっているなら別ですが、熟練度の異なるCOチームの中で自分のGPの精度を高めるためには精度の高い前回値も大切です
GPに価値を感じるDr.は神経眼科領域には多く、CO個人としてGPが習熟すればGP検査で他院に呼ばれてサラリーアップにも繋がる
上達のコツはとにかく数をこなすこと、頭を使うこと、患者さんとの共同作業なのでコミュニケーションを取ること
すごくわかります 、その辛さ。大学病院に勤めていた頃、「慣れが必要」と視野室で1日中検査していた。
結局、何となくGP出来るようになったなと思えるようになったのは、クリニックに移って誰からも指導してもらえない環境になってからだった
GPとる前にしっかり眼底写真見て、この辺りが沈下するかも?と予習したり、先輩の視野検査を見学させてもらう
同じ患者さんならそんなに視野変化大きくないことを想像して、同じような視野を検出できるか、から試す
私は、マ盲の外のイソプターが、おわんみたい?に抜ける形をとるのが苦手で、ワケわからなくなってた記憶がある
GPができると医師に感謝してもらえる機会も増え、やりがいも出てくるのでぜひ頑張って欲しい
年配の患者さんとかに、GPの方が疲れなくてありがたい、と言って貰えたりした時はムフフってひとりで喜んでいる
器械(HFA)に勝ったつもりになれる
【悩み】GPが苦手過ぎる
ゴールドマン視野検査がめっちゃ苦手です。
克服するにはどうすればいいですか?
やはり数こなすしかないですよね?
【回答】
- 地道にアームの動かし方を練習するしかない
- 自主練習をひたすら行なう
- アームの動かす速度を体に叩き込む
鏡筒をしっかり覗きながら、アームを自在に動かせるように練習、が近道な気がする
あとは、イソプターがこうなるのかな?と眼底写真とかで予習しておく
患者さんで数こなすより自主練習が先。
1人で練習して学べることはたくさんある
アームの動かす速度(30°以上2秒 30°以内3秒)という基本の徹底はとても大事です
私は新人の頃、毎日一人でやっていました
患者さんなしで大体の正常視野を何度も繰り返しやって、アームの速度を体に叩き込むと、ちょっとの感度低下を見逃さないようになる
感度低下?と感じたら何度も同じところにアームを走らせるのではなくて、スポットチェックで静的に指標を出して、本当に感度低下してるのかを確認したりするのもよい
まとめ
GPは苦手な人も多い分、得意になれば頭一つ抜き出た価値を身につけられます。
上達するには頭を使いながら件数をこなしていくしかありません。
みなさんからのアドバイスを参考に、GP苦手を克服しましょう!
GP質問総まとめ①はこちら↓
GP質問総まとめ②はこちら↓