眼鏡処方に乱視矯正はどのくらい入れる?3つのポイントと処方例を解説

乱視眼鏡処方
後輩視能訓練士

強度乱視とかの眼鏡処方って、どのくらい乱視矯正すればいいのかよくわからない

完全矯正はできても、乱視の度数を
眼鏡処方値にどう落とし込めばいいか
迷うことも多いでしょう。

乱視矯正は、度数だけでなく軸も
関わってくるため、球面レンズの
処方より倍は手間がかかります。

JBの乱視度数や軸、本人の適応力、
眼疾患の有無などによって処方値
が変わります。

あくまで参考、ほんの一例として、
いくつかのやり方を紹介します。

この記事でわかること

完全矯正から乱視の眼鏡処方を
するヒントがわかる

\臨床に即役立ちます!/

目次

乱視の眼鏡処方の3つのポイント

地域、施設、症例ごとでやり方が異なります。
あくまで一例として参考にして下さい。

乱視度数で処方を検討

完全矯正ではなく、3分の1~3分の2程度の間で、患者さんの反応を見ながら処方

完全矯正値眼鏡処方値の例
C-0.75DC-0.25~C-0.50D
C-2.00DC-0.75~C-1.50D

程度の弱い乱視であれば脳で補正されて
しまうため、眼鏡処方では等価球面で
対処したり、乱視を抜いてしまうこと
もあります。

一概には言えませんが、

C-0.75D以上の乱視は眼鏡に
乱視矯正を入れた方が満足度が上がる

ことが多いようです。

先輩視能訓練士

もちろん「C-0.50Dの乱視だから眼鏡処方値に入れない」というわけではありません

処方値には患者さんのJB度数や
乱視の角度を参考にし、乱視度数の
増減を決める手掛かりにして下さい。

斜乱視は慣れにくい

なお、斜乱視は乱視補正の像のゆがみが
広がり、かなり慣れにくいことが予想
されます。

JB度数にもよりますが、斜乱視は
3分の1程度の弱い度数
から装用テストをして下さい。

軽度の斜乱視は180°か90°に
そろえてしまう方法
もあります!

倒乱視の矯正を優先する方法

瞬目や閉瞼によってブレを感じにくい
直乱視より、閉瞼の影響を受けにくい
倒乱視の方が、乱視矯正で視力が
上がりやすい
ことが多いです。

極端に言えば同じC-0.50Dでも、

  • 直乱視は乱視矯正をしなくても問題ない
  • 倒乱視は乱視矯正をした方が視力が出る

ということがあります。

視力の変化の例

スクロールできます
直乱視倒乱視
(1.2× S-1.75D=C-0.50D A 180)
(1.2p× S-1.75D)
(1.2× S-1.75D=C-0.50D A 90)
(0.9× S-1.75D)

倒乱視の矯正も歪みを感じやすいので、
「たくさん入れればいい」というわけ
ではありません。

ポイント

  • 倒乱視は直乱視よりは乱視補正の
    視力への影響が大きいことがある

という点だけ覚えておいて下さい。

自覚に頼る方法

JBと完全矯正で乱視の軸がちがう場合、
乱視度数やJBの使用年数によっては、
患者さんの自覚を優先することがあります。

軸がちがう例

JB度数C-0.75D A180°
完全矯正C-1.00D A160°

聞き方

一番見やすいと思ったところで
教えて下さいね

と声をかけ、

指標を見せながらゆっくり
乱視レンズを回転させ、

自覚的な応答を聞く。

どの角度が良かったかによって
処方度数を決定する。

ポイント

  • 視力が上がる≠見やすい

視力が上がるのが完全矯正だとしても、
見やすいのがJBの軸なら自覚を優先する。

乱視の眼鏡処方の例

乱視の眼鏡処方例を4つ紹介します。

※なお、白内障手術後の強度乱視は
トーリックIOLで回避できますが、
一般的な強度近視の処方にも参考に
なる例として載せています。

等価球面を併用する例

スクロールできます
JB度数R (0.7×JB-2.25D=C-0.75D A180)
L (0.7×JB-2.25D=C-0.75D A180)
完全矯正値R (1.2×-2.50D=C-2.00D A180)
L (1.2×-2.50D=C-2.00D A180)
眼鏡処方値R (1.2p×-2.75D=C-1.25D A180)
L (1.2p×-2.75D=C-1.25D A180)

処方のポイント

  • 乱視の歪みを抑えつつ
    最小錯乱円を網膜上に近づけられる

JBから飛躍的に必要な乱視矯正値が
上がる場合、等価球面を併用する
ことがあります。

上記の例では乱視度数も上げつつ、
C-0.50D分を球面度数に等価球面
しています。

ただし上記だけが正解というわけではなく、

  • 乱視矯正をもっと上げた方がいい場合
  • もっと等価球面した方がいい場合

など、症例によっても変わるので、
視力の出方や各装用テストでの
患者さんの反応を見て下さい。

左右で乱視軸がちがう例

スクロールできます
JB度数使用歴なし
完全矯正値R (1.0× S-0.75D=C-0.75D A90°)
L (1.0× S-0.75D=C-0.75D A180°)
眼鏡処方値R (0.8× S-0.75D=C-0.25D A90°)
L (0.8p× S-0.75D)

処方のポイント

  • 初眼鏡なので慣れやすさを重視
  • 右眼に倒乱視の補正をした方が
    反応が良かった
  • 左眼の乱視を抜いても自覚的な
    変化はなかった
  • 優位眼が右眼

考察

優位眼が左眼だったらまた
違っていたかもしれない。

強度乱視をしっかり入れた例

スクロールできます
60代女性白内障手術後
生活環境スーパーでパートタイム
手元は裸眼で見ている
運転はしない
術前の屈折R  (0.3×S-2.00D=C-2.50D A180°)
L  (0.4×S-2.00D=C-2.50D A180°)
術前のJB度数R (JB S-1.25D=C-2.50D A180 / Add+2.50)
L (JB S-1.25D=C-2.50D A180 / Add+2.50)
完全矯正値R (0.5×IOL S-0.75D=C-4.00D A180°)
L (0.6×IOL S-0.75D=C-4.00D A180°)
装用テストAR (0.4× S-1.25D=C-3.00D A180° / Add+2.50)
L (0.5× S-1.25D=C-3.00D A180 °/ Add+2.50)
装用テストB
(完全矯正値)
R (0.5× S-0.75D=C-4.00D A180 °/ Add+2.50)
L (0.6× S-0.75D=C-4.00D A180 °/ Add+2.50)

処方の経緯

角膜形状が悪く、白内障術後も
視力が出にくい症例。
弱視だったのか幼少期の話を
聞いても、詳細は不明。

これまで累進JBを使用してきた
ことから、本人の希望もあり
累進眼鏡にて処方。

装用テスト

等価球面をしたもの(A)と
乱視の完全矯正(B)を比較し、
自覚的な違いを聞いたところ、

「そんなに大きく変わらないけど、
 Bの方がちょっといい気がする」

とのこと。

強度の乱視の完全矯正でも歪みや
違和感をほとんど感じていないため、
仕事に支障がないよう少しでも
矯正視力の上がるBを選択
した。

ただし、視力値は数字に過ぎず
自覚的には「そんなに大きく変わらない」
とも言っているので、より歪みの少ない
Aを選択
しても良い。

結果

完全矯正で処方し、特に問題なく
使えている。

強度乱視に適応できた考察

  • もともと弱視眼だった
  • JB含め強度乱視の矯正に慣れていた
  • 細かいことを気にしないキャラクターだった
  • 白内障手術をし満足度が高かった

などが考えられる。

先輩視能訓練士

もし「慣れにくい」などあるようなら、装用テストAに順ずる度数を選択してもいいかもしれません

強度乱視を弱めないとだめだった例

80代男性白内障手術後
生活環境杖歩行
ちょっとした家事もする
新聞を読む
術前の屈折R  (0.3×S+4.00D C-3.50D  A180°)
L  (0.4×S+4.00D C-3.50D  A180°)
術前のJBR (JB+3.00D C-4.00D  A180°/Add+3.00)
L (JB+3.00D C-4.00D  A180°/Add+3.00)
術後の完全矯正値R(0.8×IOL -0.25D C-2.50D  A180°)
L(0.8×IOL -0.25D C-2.50D  A180°)
眼鏡処方度数R S-0.25=C-2.50 A180°/Add+3.00
L S-0.25=C-2.50 A180°/Add+3.00
再処方度数R (0.6)(S-0.25=C-1.75 A180°/Add+3.00)
L (0.6)(S-0.25=C-1.75 A180°/Add+3.00)

処方の経緯

強度の混合乱視JBを使用していたため、
術後も乱視矯正への抵抗は少ないと
考え、完全矯正で眼鏡処方した。

装用テストで「よく見える!」と笑顔
だったが、1か月後の定期受診で

「床やお盆が斜めに歪んで見える」

と訴えて来られた。

歪みの原因を推測

  • 遠視性乱視(混合乱視)から
    近視性乱視に変わったから
  • よく見えるようになり歪みが
    目立つようになったから
  • フレームの形状がJBと
    変わったから
  • レンズメーカー・累進帯の長さ
    がJBと変わったから(不明)

原因の検討

以上を検討した結果、

乱視の特性が変わったのが一番の原因

と考えられたため、視力が落ちても
自覚的な違和感が少ない度数まで
減らした。

結果

次の受診時には「歪みもなく快適!
との回答を得られた。

完全矯正より視力は落ちるが、
術前よりは上がっており、
十分満足している様子。

なお、凹レンズへの歪み耐性が
低い可能性を懸念したため、
あえて等価球面はしていない。

考察

術前のJBで強度乱視の適応があると
踏んでの処方だったが、高齢なことも
あり、急激な屈折の変化に脳内(統合系)
の感覚が追いつかなかった
のかもしれない。

まとめ

乱視の眼鏡処方は患者さんの満足度
と慣れやすさが相反しやすい
検査
でもあります。

程度によっては乱視を抜いたり、
等価球面で帳尻を合わせたりと
処方のやり方も様々です。

先輩視能訓練士

切り口が多い方が眼鏡処方の成功率も上がります!

怖がらずに経験値を増やし、より多く
の柔軟な考え方
を身につけて下さい。

乱視眼鏡処方

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この記事を書いた人

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