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弱視治療に使う調節麻痺薬にアトロピンとサイプレジンがあるのは習ったけど、実際にどう使い分けたらいいんだろう?
保護者への説明も難しい…
アトロピンとサイプレジンの使い分け
や保護者への説明が難しいといった
悩みはないでしょうか?
教科書では詳しく習う薬剤ですが、
使い分けの判断は難しいです。
患者さんや保護者の負担が大きい検査
であるため、十分な説明が必要になり
ます。
今回は、アトロピンとサイプレジンの
使い分け、検査のタイミング、保護者へ
の説明の注意点について紹介します!
アトロピンかサイプレジンかの判断は医師が行なうことが多いです
本記事は視能訓練士に弱視治療が一任されていて、どう判断してよいか困っている人の参考になるよう掲載しています
症例による差があるため、あくまで一つの目安として下さい
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アトロピンは以下の症例が適応となります。
上記の症例は、
サイプレジンだと調節麻痺の効果が不十分になる可能性がある
ため、アトロピンが適応となります。
アトロピンの強みは完全に調節を
取り除けることです。
しかし、
自宅で5〜6日間点眼をしなければ
ならず、点眼の効果が2週間ほど残る
ため、本人や保護者への負担は大きく
なります。
サイプレジン検査は以下の症例が適応となります。
(※)10代だからサイプレジン、9歳はアトロピン、というわけではありません
サイプレジンの調節除去効果は不完全
です。
しかし、検査は1日で終わり、点眼の
効果は2〜3日と、アトロピンに比べる
と簡便に検査ができます。
その日のうち検査ができるので、アトロピンが必要かどうかのスクリーニング的な役割も果たします
弱視治療における調節麻痺薬はアトロピンが基本
ですが、
視力が(1.0)以上で安定して出ていれば
サイプレジンでの経過観察で構わない
ことが多いです。
ただし、
このため、アトロピンを使うようにして下さい。
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アトロピンやサイプレジンを使った検査
を行なうタイミングは、
自宅にいる時間が多くなる夏休みや冬休みといった長期休暇中がベスト
調節麻痺薬は一度点眼すると瞳孔が広がり、
まぶしい状態が続きます。また、ピントが
合わなくなるため、近くが見づらいです。
特にアトロピンの場合はその状態が2週間
続くため、学校や保育園・幼稚園で生活を
送る妨げになる可能性があります。
調節麻痺薬を使った検査の予約を取る時は
点眼薬の効果について説明し、なるべく
長期休暇中に検査を行なうように予定を
調整しましょう。
以下の症例のように
についてはなるべく早めにアトロピン検査
の予約を取るようにして下さい。
すぐにアトロピンが必要な症例①
3歳 女児 | 保育園に通っている 3歳半健診にて視力検査が上手にできなかったため精密検査にて来院 |
オートレフ | R=S+0.25=C-0.50 Ax180° L=S+4.00=C-0.75 Ax180° |
視力検査 | RV=1.2(1.2×S+0,75) LV=0.1(0.1×S+4.00) |
検査の様子 | 左眼測定時、右眼を遮閉すると非常に見づらそう 検査に非協力的 |
典型的な不同視弱視を疑う例です
迷うことなくアトロピンを選択します
すぐにアトロピンが必要な症例②
6歳 男児 | 小学校1年生 学校検診で視力低下を指摘され受診 |
学校健診の結果 | 右眼 D 左眼 D |
オートレフ | R=S+5.50=C-1.00 Ax180° L=S+6.00=C-1.00 Ax180° |
視力検査 | RV=0.1(0.2×S+5.50=C-1.00 Ax180°) LV=0.1(0.2×S+6.00=C-1.00 Ax180°) |
これまでの経緯
3歳半健診でも就学前健診でも視力検査の結果は良くなかったが、忙しくて眼科を受診できず。
上手にできていないだけだと思っていた。
本人から見づらいという訴えはなかった。
※保護者はシングルマザー
Drより「本当は見づらかったが、忙しいお母さんを気遣って『見づらい』と言えなかったのではないか」と指摘あり。
感受性期間の終わりが間近な症例なので、
一刻も早く眼鏡を処方して弱視訓練を
始めなければなりません。
このような症例では緊急を要することを説明し、すぐに検査予約を入れるようにして下さい
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なぜ調節麻痺薬を使って検査をしなければならないのか必ず説明して下さい
調節麻痺薬を使った検査は本人や保護者に
負担のかかる検査であるため、説明を怠ると
トラブルの原因になります。
調節麻痺薬を使って検査をする理由は?
子どもは調節力が強く、点眼薬なしの状態で屈折検査や視力検査をしても正確な数値がわかりません。
そのため調節麻痺薬を使って検査し、
正確な屈折値を把握する必要があります。
前に検査をして弱視眼鏡を作ったのにまたやるの?
一度眼鏡を作ったからといって、点眼薬なしでの検査を行なっても数値は不正確です。
弱視は完全屈折矯正の眼鏡で矯正し、
訓練をしないと効果がありません。
眼鏡を作るたびに調節麻痺薬を使う
必要があります。
視力は出てるのに調節麻痺薬を使うの?
たとえ視力が(1.0)まで出ていたとしても、強い調節力を働かせている可能性があります。
きちんと矯正しないと視力低下や眼精
疲労による集中力の低下につながり
かねません。
調節麻痺薬を使って、正確な屈折値を
把握し、眼鏡の有無を判断する必要が
あります。
アトロピン、サイプレジンともに「発熱」という副作用があることを説明して下さい。
アトロピンの場合は自宅での点眼中に
発熱が起こる可能性があります。
もともとお子さんの体調が悪い状態で点眼をすると、悪化する可能性があるので検査日を延期して下さい
万が一発熱をした場合、すぐに点眼を中止して、施設に連絡をするように指示して下さい。
点眼後は以下の注意点について説明して下さい。
眩しさ・見づらさ
サイプレジンは2〜3日、アトロピンは
10日くらい瞳孔開いたままになり、
ピントが合わなくて見づらい、太陽や
蛍光灯の光がまぶしい状態が続くと
説明する
先生の協力
小学校・保育園・幼稚園の先生に
「弱視治療中なので学校・園で眼鏡を外さないように」
と伝えてもらうようにする
すぐに眼鏡作製すること
アトロピン検査で眼鏡装用の指示が出た
場合、すぐに眼鏡を作成し目薬が効いて
いるうちにかけた方が慣れやすいと伝える
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弱視治療における調節麻痺薬はアトロピンが
基本ですが、視力が(1.0)以上で安定して出て
いればサイプレジンでの経過観察でOKです。
早急に弱視治療が必要と思われる症例はすぐに
アトロピン検査の予約を取るようにして下さい。
保護者への説明は調節麻痺薬を使う理由、
発熱の副作用、点眼後の注意点について
必ず説明しましょう。
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