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「子どもの検査は難しいと聞くけど、ちゃんとできるか自信ない…!」
「子どもの検査コワイ!!」
という眼科看護師向けに、前回値がある小学生の視力検査のやり方や注意点などを解説していきます。
大人の視力検査とは異なり、小学生の視力検査にはコツが必要です。
本記事で検査の流れや大人と決定的に違う点を認識し、怖がらずに検査経験を積んで下さい。
※今回は近視で基礎疾患のない子供の視力検査を対象にしています。遠視、弱視治療中、新患は対象外なのでご了承下さい。
また、看護師のための実践向けの内容ですので、視能訓練士には理にかなわない点があることをお断りしておきます。
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小学生で矯正視力が1.0以上出ないと何らかの疾患が疑われます。
視力の正常値は頭に入れておきつつ、眼鏡視力、前回値を参考にしながら検査します。
初めに行なうのが「オートレフラクトメータ(以下オートレフ)」です。
オートレフの測定方法は以下の通りです。
(※機種による)
小学生の場合、注意したいのがオートレフを覗いたときに起こるニセの近視(器械近視)です。
小学生はニセの近視になりやすく、測定結果が本来の目より近視寄りになります。(マイナスの数字が増える)
測定時はできるだけニセの近視が入らないように、
「遠くの赤いところをぼーっと見ていてね」
と声掛けをし、力を抜いて見てもらうことが大切です。
注意力が散漫な小学校低学年の子どもには、
「赤いところから何か出てくるかな?」
「あ!何か出てきたよ!」
などと声掛けをし、視標を見続けるように促します。
遠視の眼鏡をかけている小学生の場合、弱視の治療中かもしれないので、むやみに眼鏡を外してはいけません。
必ずカルテを見て、弱視の治療中でないことを確認してから検査します。
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眼鏡を装用している子どもであれば、視力台に案内してそのまま眼鏡での視力を測ります。
前回値と同じくらいまで視力が出なかったら?
「近視が進んでいそう」と分かった時点で視能訓練士に指示を仰ぎ、「そのまま矯正までお願いします」と依頼されたらステップ③へ行きます。
ポイント
遮眼子(下図)を使う場合は検査員が持って遮蔽するか、本人に持たせる場合はしっかり遮蔽できているか常に確認しながら行ないます。
眼鏡に挟むクリップタイプの遮蔽版があると、遮蔽のズレを気にしなくて済むので便利です。
オートレフ測定後、「PD(瞳孔間距離)」の記載を参考に検眼枠を選びます。
小学生は顔が小さいので、大体52mmから60mmの検眼枠を使いますが、PDが大きい/小さい小学生もいます。
該当するPDの検眼枠が見当たらない時は視能訓練士に声をかけて下さい。
検眼枠を選んだら視力検査をしない方の目に遮蔽板を挿入し、必ず片目を隠した状態で視力検査を行ないます。
検眼枠をかけたら、まず裸眼視力を測定します。
小学生の裸眼視力は、
となるため、かなり重要な検査となります。
目を細めない、検眼枠のすき間から覗かない、などの注意点は後述します。
裸眼視力の目安(あくまで参考程度)
裸眼視力の目安 | 近視の目安 |
0.1未満 | -2.00D前後~ |
0.1~0.3未満 | -1.50D前後 |
0.4~0.6 | -0.50D前後 |
0.7~ | -0.25D前後 |
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視力検査は前回値を元に、やや弱めからスタートします。
前回値を元にした視力検査の一例
①前回値から S+0.25Dを加えた度数を入れる | 前回値(1.2×S-2.50) 今回S-2.25Dスタート |
②視力を測定 (当然前回値までは届かないはず) | (0.7×S-2.25D) |
③S-0.25D加える (前回値と同じになる) | (?×S-2.50D) |
④前回と同じ視力が出ていたら終了 | (1.2×S-2.50D) |
⑤前回値まで届かない場合、 さらにS-0.25D加える (前回値より1段階アップ) | (0.8×S-2.50D) (?×S-2.75D) |
⑥前回と同じ視力が出ていたら終了 | (1.2×S-2.75D) |
⑦まだ前回値まで届かない場合、 さらにS-0.25D加える (前回値より2段階アップ) | (0.9×S-2.75D) (?×S-3.00D) |
⑧前回と同じ視力が出ていたら終了 | (1.2×S-3.00D) |
⑨視力が出なければいったん 視能訓練士へ声をかける | (0.9×S-3.00D) |
手順⑤以降は、すぐ視能訓練士にパスするのか、一通り視力が出るまで看護師が行なうのか、施設によってやり方が異なります。
直前に眼鏡視力を測っている場合は、数値に相関があるか意識しながら行ないます。
眼鏡視力が1.0出ているのに、矯正視力がそれに満たない場合は、何か検査上の不備があるかもしれません。
※乱視は前回値と同じものを入れ、増やしたり減らしたりする必要はありません
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小学生の場合、オートレフ値を頭から信用してはいけません。
裸眼視力と前回値をよく見て、オートレフ値は参考程度にします。
なぜ信用できないかというと、小学生には「調節力」が影響するからです。
調節力はピント合わせる力のこと。年齢が幼いほど強い力を持っており、高齢になるにつれ衰えてきます。
調節力が入るとオートレフ値には器械近視が入りやすくなり、本来の目より近視化した数値になります。
次の表を見て下さい。
オートレフ値 | S-2.00D |
前回の視力検査結果 | 0.7(1.5×S-0.50D) |
今回の視力検査結果 | 0.6(1.5×S-0.75D) |
結論 | 本当にS-2.00Dなら裸眼視力は0.1くらいのはず オートレフ値より少ない数値で視力が出た オートレフ値は調節によるニセの近視の数値だった! |
上記のように、オートレフ値と裸眼視力が相関しないことはよくあるので、小学生の視力検査でオートレフ値をそのまま使うことは避けて下さい。
だから裸眼視力と眼鏡視力が大事なのです
小学生は、視標が見えづらくなると自然と目を細めて見ていることがあります。
目を細めると、本来見えないランドルト環まで見えてしまうので、正しく視力検査ができません。
視力検査中は必ず目を細めていないか確認をし、細めていたら、
「目は大きく開けて見てね」
「眼は細めちゃダメだよ」
などと声掛けをしながら視力検査を行ないます。
どうしても目を細めて見ているようであれば、細めない状態で見えた最後の視標で視力値を決定します。
カルテには「目を細めやすい」などのコメントを残して下さい
視力検査中は、子どもが顔を傾けたりあごを引いたりして、すき間から覗いていないか気を付けて観察しましょう。
小学生は検眼枠をかけると、片目を隠されたことによる見えづらさから、検眼枠のすき間から覗こうとします。
また、検眼枠は瞳孔とレンズの中心がぴったり合う位置でかける必要があります。
必ず検者が検眼枠をかけてあげて、正確な位置で装用できているか確認して下さい。
眼科で看護師が行なう小学生の視力検査について解説しました。
小学生は大人以上にさまざまなことに注意しなければなりません。
小学生の視力検査を任されるということは、検査技術が上がり、信頼されているということです。
今後さらにスキルを伸ばし、なるべく素早く正確に検査できるようステップアップを目指して下さい。
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