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今回ご紹介するのは以下の症例です。
間欠性外斜視で4カ月ごとに経過観察をしていた9歳の女の子が、遠くの物や黒板の文字が時々二重に見えるようになったという主訴で急遽来院。
検査をしたところ、斜視の頻度が増えており、立体視も悪化していた。
複視に対してプリズム眼鏡を合わせて、現在経過観察をしている。
間欠性外斜視は、臨床においてよくある
症例の一つです。
本症例は、筆者が体験したものですが、
個人情報の観点から実際の症例と一部
改変しています。ご理解の上で参考に
していただけると幸いです。
小児の間欠性外斜視で、斜視の頻度が増えて複視が出現した症例の治療経過例
この記事を書いた人
詳しく見ていきましょう。
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主訴
9歳女児
「最近、遠くの物や黒板の文字が時々二重に見えるようになってきた。」
現病歴
幼少期よりぼーっとした時、眠たい時に左目が外にズレる間欠性外斜視で他院通院。7歳の時、転居を機に当院受診。
Far 12ΔXPT
Near 25ΔXPT’で経過観察中(phoria多く、複視や眼精疲労もなし)
TST all(+)
現JB度数はB)-0.50D=C-2.00DAx180°
典型的な間欠性外斜視の症例となります
7歳の時の当院初診時のデータは、以下
の通りです。
■視力
RV=0.2(1.2×S+0.25D=C-2.00DAx180°)
LV=0.3(1.2×S+0.50D=C-2.00DAx180°)
初診時のJB度数
B)+0.50D=C-2.00DAx180°
■眼位・眼球運動
Far 12ΔXPT phoria>tropia dip(-)
Near 25ΔXPT’ phoria>tropia dip(-)
EOM full
NPC 3cm
■両眼視機能 JB装用にて
Bagolini SG Test 遠近ともにphoriaで正常
TST all(+) phoria
Worth4灯 phoriaで正常
■対光反射
異常なし
■前眼部・眼底
異常なし
phoriaも多く、両眼視機能も良好なので経過観察でOKでした
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2年ほど4カ月ごとに経過観察していま
したが、9歳になったころから遠くの
物や黒板の文字が時々二重に見える
ようになってきたとのことで急遽来院
されました。
その際のデータは以下の通りです。
※初診時よりも悪化した部分を赤字に
しています。
■視力
RV=0.2(1.2×S-0.50D=C-2.00DAx180°)
LV=0.3(1.2×S-0.50D=C-2.00DAx180°)
B)JB同度数でベスト
■眼位・眼球運動
Far 14ΔXPT ほぼtropia 一瞬phoriaが見られた dip(±)
Near 20ΔXPT’ tropia>phoria dip(-) →近見はtropia時に抑制がかかっているよう
EOM full
NPC 10cm
■両眼視機能 JB装用にて
Bagolini SG Test
遠見 phoria L-supp(±) L薄い
近見 XT’ L-supp(+)
TST F(+) A(1/3) C(1/9) 交代supp(+) phoriaになったりtropiaになったり
Worth4灯 XTでL-supp(+)
初診時とどのようにデータが変わっているかをよく見てみましょう
初診時にはphoriaを保てていた間欠性
外斜視ですが、tropiaが多くなってきて
自覚症状を感じるようになった症例です。
本症例のポイントは以下の通りです。
症例のポイントを把握した上で、何が必要か考えてみると次のアプローチがわかりますよ
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筆者の施設では、本症例の複視や眼精疲労
に対して、プリズム眼鏡を合わせること
になりました。
以下がプリズム眼鏡合わせの経緯です。
■プリズム前の眼位
Far 14ΔXPT ほぼtropia 一瞬phoriaが見られた dip(±)
Near 20ΔXPT’ tropia>phoria dip(-)
■プリズムトライ
①CC上にB)3ΔBase in装用
Far 6ΔXPT tropia>phoria dip(±)
Near 12ΔXPT’ tropia>phoria dip(-)
遠見にて二重になったり一つになったりする
②CC上にB)4ΔBase in装用
Far 4ΔXPT ほぼphoria dip(-)
Near 10ΔXPT’ tropia=phoria dip(-) →tropia時に抑制がかかっているかもしれないが、経過観察とする
一つになっており、二重には見えない
自覚的な装用感を重視し、B)4Δで組み込みプリズム眼鏡を処方
筆者の施設では患者さんの自覚を優先しながら、phoriaを保てる最小のプリズム度数を選択しています
※施設によって治療方針や考え方はさまざまです
今後の方針としては以下の通りになります。
phoriaが多いため経過観察をしていた
間欠性外斜視のtropiaが増えて複視が
出現、立体視が悪化した9歳の女の子
の一例をご紹介しました。
間欠性外斜視は、角度が小さくphoriaが
多い場合には、経過観察でOKですが、
tropiaの頻度が大きくなったり、複視が
出現した場合には、プリズム眼鏡や
手術での対応が必要になります。
今回は、時々複視が出るとのことでした
が、phoriaを維持するのが難しくなり、
立体視も悪化していたので、プリズム
眼鏡処方となりました。
今後は斜視角が増えていないか、プリズム
眼鏡で複視が軽減できているか、両眼視
機能の程度によっては訓練も併用していく
という流れになっています。
今回ご紹介した症例はよくあるパターンの一つですので、ぜひ参考にしてみて下さいね!
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