【日本一のCOコミュニティを運営】視能訓練士軍団(仮)さんインタビュー
LINEのオープンチャット『視能訓練士軍団(仮)』の運営者である、すぺしゃるおにぃさんさん、Anoさん、近視のひよっこさんの3名にインタビューしました!
視能訓練士軍団(仮)を始めたきっかけや、視能訓練士の価値や課題について深くお聞きしています。
また、これだけ大規模なグループを管理している人たちの「素の顔」として、趣味の話も伺いました。どうぞお楽しみに!
※『視能訓練士軍団(仮)』とは2019年より始まった、オープンチャットのグループ。
視能訓練士と学生を対象にした日本で最も大きな視能訓練士オンラインコミュニティ。
現在の参加人数は860人を超える。(2022.9現在)
- 視能訓練士軍団(仮)(オープンチャットへ)
視能訓練士軍団(仮)を発足したきっかけ
視能訓練士の何に課題を感じて軍団を作ろうと思ったのですか?
先輩に聞きたくても聞けない状況で困っている人に新しい環境を提供したかったからです
僕はもともと、Twitterで質問を募集して、それに回答するというやり方で自分にできることをやっていました。だんだん質問の数が増えてきたことで「やはり困っている視能訓練士が多いんだ」と感じていました。
僕にも経験がありますが、実際に視能訓練士が1人の職場だとか、雰囲気が厳しくて先輩に聞けないといったことは多いのです。
質問に対して「自分で調べて」と返されるだけの環境ではなく、誰でも気軽に質問ができて、誰からでも返事が来る場を作りたいと思ったのがきっかけです。
Web上で簡単にアクセスできて、認知度の高いツールとしてLINEのオープンチャットを選びました。
確かにLINEは一番親しみやすいですよね
みなさんはどのように知り合ったのですか?
すぺしゃるおにぃさんさん
もともとはTwitterで知り合って、その後は学会で直接会いましたね!
Anoさん
すぺしゃるおにぃさんさんがTwitterで『視能訓練士軍団』を作りたいと言っているのを見て、私にもできることはないかなと思い、DMしたのが始まりだったと思います。
その後、しっかり運営してくれる人を誘いたいと思い、近視のひよっこさんに声をかけましたね
近視のひよっこさん
私もお二人のことはTwitterで知っていて、ぜひお会いしたいと思っていました。
当時まだ新卒1年目のORTだったのに、それぞれ違う学会で、お二人に直撃したんです。今思うと驚くばかりです(笑)
すぺしゃるおにぃさんさん
あの時はスゴイと思いましたね!
積極的に絡んできてくれて、そのメンタルの強さと熱量に圧倒されました
同じ想いを持った3人がTwitterを通じて出会い、現在の視能訓練士軍団(仮)になったというわけですね
運営メンバーの自己紹介
運営メンバーの紹介をお願いします!
すぺしゃるおにいさんさんの経歴(ORT×Webクリエイター)
大卒後は縁あってクリニック勤務をしており、その後、中途で大学病院に転職しました。大学の研究領域は硝子体や網膜色素変性でしたが、斜視弱視に興味があった僕は「学べることを学んだら小児眼科へ転職しよう」と決めていました。
新たに転職した小児眼科では、とても尊敬できる斜視弱視の専門医がいて「この人についていきたい!」と思い、ひたすらに勉強していましたね。
ところが同じ頃、地域でも有名な小児病院に外勤に行ったところ、検査の手技手法などが全然違うことを知ったのです。
当時僕は一人ORTの職場で、斜弱対応で複数の眼科に出向いていたこともあって、地域や施設による考え方・やり方の差に驚かされていました。
「一つのやり方しか知らないと限界が来るな」と感じ、同じように戸惑ったり悩んだりしている人のために視能訓練士のコミュニティを作ろうと思ったのが始まりです。
複数の勤務経験があるからこそ気付けたことなのですね
すぺしゃるおにぃさんさんはWebデザイナーもなさっていますよね?
はい、中古のMacbookをもらったのがきっかけです
以前からパソコンやモノ系のガジェットが大好きで、ある時友人から中古のMacBookを手に入れて以来、「Macと言えばデザイン!」と思ってデザイン関係の勉強を始めてみました。
過去に医学部の再受験を試みたこともあり、視能訓練士として働きながらの受験勉強で、自分の自由時間はほとんどありませんでした。
結局医学部へ行くことはなかったのですが、受験が終わり、自分のための時間ができたことで、よりデザイン制作に没頭できるようになりました。
医学部の受験もそうですが、僕は慎重に戦略を練るより、とりあえずやってみて考える、と先に行動するタイプなんです(笑)
Anoさんの経歴(ORT×音楽クリエイター)
新卒後に勤務した眼科病院では、すごく患者さんの数が多い施設でした。決められたルーティンの中で、とにかく早く検査を回すことが優先。「この検査、本当に必要かな?」と思っていても、そこまで追及している暇もないほどでした。
疑問に思ったことを先輩に聞いても「うちはそういうやり方だから」で終わってしまい、外部との交流もなく、疑問やモヤモヤしたものが解決されないままの状況が嫌で、転職しました。
転職先では先輩が1人いて、一緒に考え方を学べたことは大きいです。さらに、初めてオペ室業務をすることになり、オペ室の緊張感や、術前の検査がどうオペに活かされて、オペが術後に屈折にどう関わってくるかの一連の流れを知れたことで、視野が広がるのを感じました。
その後別のクリニックへ転職し、一人ORTだったため、「誰かに聞きたい、知識を得たい、でも出ていけない」というジレンマに陥り、視能訓練士軍団(仮)と繋がったのです。現在はもう一度転職し、ロービジョン外来も行なっているクリニックに勤務しています。
私は同じ作業を繰り返すのが苦手なので、いつでも考える力を忘れないようにしています
当たり前と思っていることに疑問を持つのは大事ですね
Anoさんの音楽製作について教えて下さい!
子どもの頃から音楽が好きでしたが、大学時代に多方面でコンサル業をやっている知人「音楽好きなら何か作ってみたら?」と言われたのがきっかけです。
当時はパソコンで音楽制作する方法も知らなかったので、楽器とスタジオを借り、生音をとって音源を制作、この繰り返し。
その結果、私の作った音がある映画で採用されることになり、知り合いや依頼も増えていきました。いろんな方とつくりあげてきた曲は私にとっての財産です。
近視のひよっこさんの経歴
私の場合、始めは視能訓練士と関係のない大学に通っていて、教員を目指していました。アルバイトの詰め過ぎで体調を崩してしまったこともあり、大学4年の時に「専門職に就きたい」と思い、視能訓練士を目指しました。
養成校で勉強する中で、視能学に『今ではこの検査・訓練は行われていない』等と書いてあり、先生に聞けば聞いたでまた違う答えが返ってくる。納得できる答えが得られないまま卒業し、近視進行抑制や近視全般、網膜硝子体手術や緑内障などを行なう、規模の大きいクリニックに就職しました。
先輩たちが丁寧に教えて下さったのですが、掛け持ちでアルバイトを始めたところ、やり方が全然違うことを知ったのです。「一つの施設で働き続けると、一つの意見しか知ることができない怖さがある」と悟りました。
いろいろな意見を聞ける場があればいいなと思っていた矢先、オープンチャットのお話を頂き、とてもありがたかったです。
現在は転職して、白内障や涙道が専門のクリニックにいますが、斜視弱視の手技や弱い部分を学びたくて、アルバイトもしています。
私は思いついたら猪突猛進するタイプなんです(笑)
わからないことはすぐ質問する、好奇心旺盛な方なのですね
すぺしゃるおにぃさんさんとAnoさんとは、若手1年目の時に接触したと聞きましたが?
1年目の時から「一つの考え方にとらわれたくない」という気持ちが強くて、優秀な先輩たちの知恵をひたすら吸収しようと思っていました。
当初はその場がTwitterでして、有益な発信をされていたすぺしゃるおにぃさんさんとAnoさんに、Twitter経由で連絡を取って繋がりました。直接会ったのはわずかですが、ここまで長く、深くかかわりがあるのはこのお二人です。
運営にあたり大変だったことや課題とは
オープンチャット『視能訓練士軍団(仮)』の運営で苦労されたことはありますか?
開始当初の大変さと、利用者が増えた現在だからこその課題とがあります
メンバー集めの苦労はほとんどなかった
運営メンバーはわりとすぐ決まったので、運営を始めるための苦労はほとんどありませんでしたね
ユーザーが増えると面白い考え方や主義を持つ人も当然増えて、意見を楽しみつつ、「それってこうも考えられるよね」とフォローもしていかなくてはならない。
そんな忙しさはありましたが、二人に助けられている部分も大きく、人選も良かったと思います。
運営コストは当初かなり大変だった
運営を続けるために費やした時間はかなりのものでした
オープンチャット内での質問に対して、「一般的に正しいと言われていること」を回答しなければいけないのにはかなりの責任を感じていたので、論文や書籍を読みあさってから答えていました。
自分の施設のやり方を押し付けてもいけないしで、当時はかなり神経質になっていましたね。今は全国の経験者からいろいろな意見を頂けるので助かっています。
回答者が少ないと「その答えだけが正解」となってしまう
回答者が少ない場合、それだけが正しい意見となってしまうのも課題かなと思っています
ユーザーに、誰か一人の意見が正しいと思い込ませないようにするためにも、多様な意見を出して頂くのが理想です。
オープンチャットは異なる経験をしてきた視能訓練士たちが、
「うちはこうしている」
「そうなんだ?うちではこうしているよ」
「なぜそうしているの?」
「○○だからだよ。あなたはなぜそうなの?」
みたいな意見交換や議論をする場にしたいですね。
課題は情報がストックされないこと
一番の課題は、せっかくの多くの意見が時間とともに流れてしまうことですね
オープンチャットは情報のストックができないことが課題です。
知りたいことがすぐに知れない、探したいことが探しにくい、という「検索機能の弱さ」というのは、ある種、致命的な弱点でもあります。
現状、全国いろいろな施設の貴重な情報が集まるのは、この視能訓練士軍団(仮)しかありません。
チャット内での個々人の意見を資産化するためにも、情報を記事化し、ユーザーがすぐに検索できる環境を作る必要があると感じました。
これができれば同じ人が何度も同じ質問に答えなくて済みますからね
そうなんです!
利用者ファースト、検索しやすい状態を作るために、Contactとの連携は僕たち運営側から見ても、渡りに船だったというわけです
軍団の目指す世界観とは
視能訓練士軍団(仮)を運営してどんな未来を築きたいですか?
すぺしゃるおにぃさんさん
疑問に思ったことを自発的に解決しようとする、ひいては業界を支えていく人になってほしいと思います
多くの地域、施設の意見を誰もが聞けて、かみ砕いて、自分のやっていることについて考えるきっかけになればいいです。
何を聞いても「そういう決まりだから」で終わり、流されるままマニュアルに沿って動くのではなく、「それでいいのかな?」と疑問を持って、能動的に学べる人を、少しでも多く育てられる環境にしたいですね。
単に「家庭と両立できる楽な仕事」だけでは視能訓練士の価値を、本質的には高められません。業界を支えていく価値のある職業だという意識を持ってもらえたら嬉しいです
Anoさん
自分自身の価値を上げていくための手段としてオープンチャットを有効活用してほしいですね
視能訓練士に限らず、自分の価値は自分で高めていくものです。積極的にオープンチャットを活用して自分の価値を証明できれば、眼科医や看護師と連携しやすくなり、より良い環境、信頼関係を築けるはずです。
OMA制度も廃止され、視能訓練士の地位を挙げるために外側の環境がどれほど変わろうとも、内側から頑張らなければ何も変わりません。私たちのような中堅レベルの視能訓練士も変わるための努力が必要です。
やる前に諦めるよりは「やれるだけの材料集めの場所」としてオープンチャットがあっていいと思います。
近視のひよっこさん
若手からベテランまで利用して、場所や世代を超えた意見交換の場になればと思います
東西で意見が分かれていたり、大学ごとに主義主張の哲学的な議論があったりする中で、オープンチャットはフラットな場として意見の違いに切り込んでいけるものになればいいと思います。
学校で習って終わりではなく、意見や人間同士のつながりを楽しめるフランクな集団で在りたいです。
今、若手にはどういうトピックが議題になっているか、ベテラン勢が知れる機会にもなるので、幅広い方々に利用して頂きたいですね。
おまけ:「中の人」の好きなマンガを聞いてみた。
最後に、3名の共通の趣味であり、意外(?)な一面、「好きなマンガ」について教えて下さい!
- 宇宙兄弟
- ばらかもん
- 葬送のフリーレン
- みなみけ
- キングダム
- 弱虫ペダル
- ダンジョン飯
特に宇宙兄弟が大好きで、もう何回読んだか覚えてないくらい
(毎刊泣いてる…)
- ハイキュー!!
- 鋼の錬金術師
- 4月は君の嘘
- 薬屋のひとりごと
- ヲタクに恋は難しい
- それでも世界は美しい
- コレットは死ぬことにした
- どうせもう逃げられない
- きっと愛してしまうんだ
私も音楽のほかにマンガがないと生きていけないくらい大好きです!
- よつばと
- 俺物語
- 鋼の錬金術師
- ココロボタン
- ばらかもん
- 大正ロマンチカ
私もマンガ好きなので選ぶのに時間かかりましたよ~
- ワンピース
- 僕のヒーローアカデミア
- あひるの空
- キングダム
- 進撃の巨人
僕の好きなマンガも紹介します!
(王道ですね…)
こうして好きなマンガを並べるだけで、人柄が見えて楽しいですね
視能訓練士軍団(仮)のみなさん、今日はどうもありがとうございました!