【若手視能訓練士向け個人セミナー開催】本武拓真さんインタビュー
若手視能訓練士・ORT学生を対象としたzoom勉強会・相談会を実施し、みるみるプロジェクトにも参加されている本武拓真(ほんたけ たくま)さんにお話を伺いました!
本武さんが考える視能訓練士の未来像に迫ります。
略歴
福岡国際医療福祉学院(現福岡国際医療福祉大学)卒
広島大学病院勤務
現在の活動内容
個人眼科クリニック2施設勤務
- 若手視能訓練士・CO学生を対象としたzoom勉強会・相談会を主催
- ライター(眼科ホームページ記事作成等)
- みるみるプロジェクトアドバイザー
好きなことには熱中するタイプ
本武さんはなぜ視能訓練士を目指したのですか?
目の勉強にとても興味があったからです
出身は福岡県で、当時は専門学校だった福岡国際医療福祉学院(現福岡国際医療福祉大学)で視能訓練士の資格を取りました。
私は高校生まで野球をやっていて、勉強は得意な方ではなかったのですが、興味があることだとのめり込めるタイプです。これまで学んだことのなかった「目」の勉強ができるカリキュラムに、好奇心がとても刺激されました。
視能訓練士に関する勉強に興味を持ち、のめり込めたことが、今の勉強会やより良い学習の場を提供することにつながっていると思っています。
視能訓練士の経歴は大学病院から
本武さんの最初のお勤め先は大学病院なのですよね?
はい。その後大学病院から転職し、現在は個人眼科クリニック2施設で勤務をさせて頂いています
卒業後の進路を考えたとき、できる限り視能訓練士としての知識や技術を身につけられるところがいいと決めていました。
学びの意欲や向上心が常にあったので、最初は大変でもいいからしっかり勉強できる施設に行きたかったのです。私の場合はそれが広島大学病院でした。
広島大学病院では通常の外来業務に加えて、各視能訓練士が専門分野として、「角膜」「網膜(ERG)」「ロービジョン」に振り分けられ、それぞれの分野の専門性を高める教育システムになっていました。
私は角膜分野に所属しており、学会発表を行ない、眼科ケアの執筆などをさせて頂きました。
そのほか、大学病院在籍時には、他の個人眼科クリニックから手伝いを要請されることも多々あり、許可を得てアルバイトに行くこともありましたね。
アルバイトの内容は、通常の外来業務を手伝ったり、GPや小児検査などの専門業務を行ったりなど様々です。大学病院に在籍できたことは、すごく貴重な経験で、今の私の基礎となっています。
転職のきっかけは向上心
とても充実しているようですが転職のきっかけは何でしょうか?
新しいことをやってみたい、いろんなことを学びたいという冒険心があったからです
大学病院は専門性が高く研究機関もあるので、来院する患者さんが希少疾患や特殊な症例であることが多いのです。
学術的な学びを得られるのが大学病院のメリットですが、私は「もっと幅広く知見を得たい。新しいことに挑戦したい」と考え始めており、その結果としてこれまでとは違ったタイプの眼科に転職することになりました。
非常勤で働いているのには何か理由があるのですか?
見識を深めるためと収入源のリスク分散のためです
私にはずっと同じことを続けているより、次から次へと新しい見識を深めていくのが性に合っています。
今までは常勤だったので、あえて非常勤で複数の眼科に身を置き、異なる人間関係、異なるシステム、異なる患者さんと接することで知識欲に刺激を与えています。
また現実的な観点から言うと、収入源を分散させたいという思いもありました。
例えば1か所の勤務先で30万の収入よりも、3か所から各10万円の収入を得る30万円の方がリスク分散ができていることになります。
現在、2施設の個人眼科クリニックで勤務をさせて頂いていますが、各院長先生からは私の活動を応援して頂いておりすごく感謝をしています。
応援して下さる院長先生に恩返しができるよう、眼科クリニックでの勤務時は1人でも多くの患者様に満足・安心して頂けるような接遇を心がけています。
個人セミナーは若手視能訓練士育成のため
「明日からの臨床現場ですぐに活かせる」
「今までの疑問がすっきり解決する」
「普段聞きづらいことも遠慮なく聞ける」
「考え方を知ることで養成校での授業が楽しくなる」
個人セミナーを始めたきっかけはなんですか?
若手視能訓練士や学生向けの勉強会が少なかったからです
視能訓練士業界を見渡した時に、若手向けのセミナー・勉強会が少ないと感じており、自分の技術に自信が持てるようになったいま若手視能訓練士・学生の方に向けたことをやってみたいと思いました。
私は幸い大学病院に就職でき、先輩視能訓練士の方がいた環境だったので多くのことを学べましたが、就職先や環境によっては、どうしても学べることに限界がありますよね。
学会の症例発表や勉強会は、臨床経験が浅い視能訓練士にとって専門的すぎることもあり、「もっと普段触れることの多い臨床的な内容を知りたい」と感じている方もおられるかなと思っています。
そんな若手に、目線をそろえた学びの場を提供できないかと考えたのが始まりです。
どのような形式なのでしょうか?
個人セミナーはマンツーマンで行なっています
基本的に5年未満の視能訓練士・学生の方に向けた勉強会、転職の相談などを行なっています。
一方的に私が講義することもありますが、利用者さんからの意見や提案を聞きながら、双方向のコミュニケーションがとれる勉強会・相談会です。
予約の申込み画面に講義のテーマや質問、意見などを自由に書き込めるフォームがあるので、知りたいことをいくらでも書いて頂けます。その内容をもとに、半日~1日かけて講義用スライドをパワーポイントで作成し、意見交換を交えた勉強会を行います。
1コマは60分、料金は内容によって1時間2,500円~3,000円ですが、頂いたレビューを見る限り、「ニーズを満たせている、意味のあることはできている」のかなという感覚です。
個人向けセミナー以外の活動はありますか?
はい。個人眼科向けのオンライン勉強会やみるみるプロジェクトのアドバイザーをしています
その他では、ご依頼頂いた個人眼科クリニック様に、月に1回1コマ20分のオンライン勉強会を実施しています。
先方の都合が良い時に見られるよう、あらかじめ講義動画を撮影して送付するという自由度の高い形式で行なっています。
みるみるプロジェクトではレンズメーカーや眼鏡店と協力し、若手視能訓練士の方々のタメになるようみるみるセミナー(※)などに関わっています。
※リンクはページ下方をご覧ください
個人セミナーはやりがいがある
個人セミナーの開催にストレスはありますか?
やりたいことをやれているので、忙しさもストレスに感じません!
1日の生活を振り返ってみると、仕事に行くこともセミナーの準備をすることも、全て自分で選んだ生き方なので、何一つストレスにはなりません。
確かに、オンライン勉強会を始めた頃は応援してくれる人もいれば、止めようとする人もいました。しかし、新しいことを始めると周囲から賛否が巻き起こるのは普通のことです。
私の場合はそれがストレスの原因になったことはなく、すでに活動している何人もの先輩に相談しながら対処し、少しずつではありますが、現在ではいろんな方から賛同の声を頂けるようになってきています。
そうやって小さな壁を乗り越えていける力が身につくのも、個人セミナーを始めたからこそ自分自身が成長できた点でもあります。
私自身、何十年も先に今と同じようなことをしているかと聞かれれば、「わからない」としか言えません。
今は色々なことに触れて、向上心や好奇心を刺激して、視能訓練士業界全体に新しい風を吹き込めればいいなと考えています。
一人前になれれば選択肢が増えることを知ってほしい
最後に、学生や若手、転職に悩んでいる視能訓練士にメッセージをお願いします
色々な働き方の選択肢があることを知ってほしいと思います
視能訓練士のキャリアパスに悩んでいる方に、「より早く一人前になって自分で働き方を選ぼう」と伝えたいですね。
普通は同じ眼科で数年働きスキルを磨いていくものですが、勉強会などを利用すればもっと早く独り立ちできます。
自分でなんでもできるようになれば、職場や働き方を自由に選択でき、副業ライターや勉強会の開催などで現場以外の収入源も得られます。
少しでも多くの視能訓練士が自分らしい働き方ができるようになるのが私の理想です!
学生や若手視能訓練士の育成にかける想いが伝わってきました!本武さん、ありがとうございました!