今後視能訓練士は増えるの?競合に負けないための採用戦略
視能訓練士国家資格保有・株式会社Contact代表として眼科クリニックの採用支援を専門に行う
視能訓練士の有資格者数(累計登録者数)は今後も増加が見込まれていますが、実際に現場で働ける人数(常勤換算)とは差があり、その差は今後も残り続ける可能性があります。有資格者数の伸びだけを見て「将来的に採用しやすくなる」と考えるのは早計です。欠員が出てから動くのではなく、平常時から採用と定着の両方を準備しておくことが、競合に負けない採用戦略の土台になります。
視能訓練士の有資格者数は、今後も増えていくのか
視能訓練士協会の公表データによると、有資格者数(累計登録者数)は約2万人(2024年12月末時点)とされています。免許は自動的に失効するものではないため、有資格者数自体は今後も増加していく見通しです。
ただし、これは「資格を持っている人の数」であり、「実際に眼科・クリニックの現場で働いている人の数」とは別の指標です。採用計画を立てる際は、有資格者数の伸びだけで将来を楽観視しないことが重要です。
有資格者数が増えているのに、現場では人手不足を感じるのはなぜか
厚生労働省の医療施設調査(2023年)によると、病院・診療所で実際に働く視能訓練士の就業者数は11,141人(病院4,685人、診療所6,456人)です。有資格者数(約2万人)と就業者数には、既に大きな開きがあります。
この差が生まれる主な要因は次のとおりです。
- 出産・育児(産休・育休)で一時的に現場を離れる人がいる
- 配偶者の転居などライフイベントに伴い離職する人がいる
- 資格を保有しながら、視能訓練士として働いていない潜在層が一定数存在する
- 眼科・視能訓練士を必要とする施設自体も増えており、採用する側の競争が続いている
全国の有資格者数が増えても、地域ごとの人手不足感がそのまま解消されるとは限りません。採用が難航しやすい構造的な背景については、視能訓練士の採用はなぜ難しい?構造的な3つの理由と眼科クリニックができる対策でも整理しています。
2030年には、実際に働ける視能訓練士はどのくらいになるのか
現時点の増加ペース(年間700〜800人前後)が続くと仮定した場合の当社独自の試算では、2030年時点の有資格者数は2万3,000〜2万5,000人程度まで増える可能性があります。一方で、常勤換算の就業者数は、有資格者数の半数前後(1万〜1万3,000人程度)にとどまると見込まれます。
※この試算は、直近の有資格者数の増加ペースをもとにした当社独自のシミュレーションであり、厚生労働省・視能訓練士協会が公表した確定的な将来予測ではありません。前提条件(増加率・潜在率)が変われば数値も変動します。
この試算のとおりに推移した場合、有資格者数と現場で働ける人数の差は今後も残る可能性があり、眼科の採用難が時間の経過だけで自然に解消されるとは考えにくい状況です。
欠員が出てから採用すればよいのではないか
欠員が出てから求人を出しても、すぐに応募が集まるとは限りません。採用を急ぐほど、条件や相性を十分に確認できないまま採用してしまうリスクも高まります。また、応募がない状態が続けば、既存スタッフの負担が大きくなり、そこからさらに離職につながる悪循環も起こり得ます。
採用だけで人手不足に対応しようとせず、今いるスタッフに長く働いてもらうための定着策と、新規採用の準備を並行して進めることが必要です。具体的な定着策は採用した視能訓練士がすぐ辞める…早期離職を防ぐ定着策と原因の見極め方で解説しています。
子育てやライフイベントによる離職を防ぐには
出産・育児、配偶者の転居といったライフイベント自体を避けることはできません。大切なのは、休職しても復帰しやすい職場環境をあらかじめ用意しておくことです。
- 時短勤務や勤務日数など、柔軟な働き方の選択肢を用意する
- 復帰後の役割やキャリアについて、休職前から話し合っておく
- スタッフがプライベートな事情を相談しやすい関係性を、日頃から作っておく
こうしたライフイベントへの対応をあらかじめ準備しておくことが、一時的な休職をそのまま退職につなげない仕組みとして機能します。
競合院に負けないためには、どのような採用戦略が必要か
近隣で視能訓練士が転職する場合、大きく引っ越しを伴わない範囲で職場を探すケースが多いと考えられます。つまり、自院を辞めたスタッフは近隣の競合クリニックに移る可能性があるということです。
競合に負けない採用戦略として、次の点が重要になります。
- スタッフを単なる労働力ではなく、医院を支える人材として位置づける
- 特に辞めてほしくない人材には、能力や貢献に見合った待遇を個別に検討する
- 給与だけでなく、休日・教育体制・将来のキャリアパスまで含めて整える
- 求人を出すだけでなく、自院で働く魅力を継続的に発信する
新規採用と既存スタッフの定着は、切り離して考えるのではなく同時に進めることが、視能訓練士の人手不足が続く前提での現実的な採用戦略です。
まとめ
- 視能訓練士の有資格者数は今後も増える見通しだが、それがそのまま採用のしやすさにはつながらない
- 有資格者数と実際に働ける人数(常勤換算)には差があり、その差は今後も残る可能性がある
- 欠員が出てから採用するのではなく、平常時から採用と定着の両方を準備することが重要
- 特に確保したい人材には、待遇・キャリアパスを含めた個別の対応を検討する
採用戦略をどこから見直せばよいか分からない場合は、視能訓練士に特化した人材紹介サービスを提供する当社まで、ご相談ください。
出典
- 一般社団法人視能訓練士協会「視能訓練士について」(有資格者数・約2万人・2024年12月末時点)※公開情報の定点確認が必要なため、公開前に最新値を再確認すること:https://www.joaweb.org/about
- 厚生労働省「医療施設調査」(2023年・視能訓練士の就業者数11,141人=病院4,685人・診療所6,456人)※数値は公開情報の定点確認が必要
- 2030年の人数試算は当社独自のシミュレーションであり、上記2つの一次データを基にした当社の推計(確定的な公的予測ではない)
よくある質問
視能訓練士の有資格者数は、今後も増えていきますか?
視能訓練士協会の公表データでは、有資格者数(累計登録者数)は年々増加しています。ただし、有資格者数の増加が、そのまま現場で働く人数の増加を意味するわけではありません。
有資格者数が増えているのに、なぜ現場では人手不足を感じるのですか?
出産・育児、配偶者の転居などで一時的に現場を離れる方や、資格を保有しながら働いていない潜在層がいるためです。実際の労働力を測る際は、有資格者数ではなく常勤換算の就業者数を見る必要があります。
2030年になれば、視能訓練士の人手不足は自然に解消されますか?
現時点の増加ペースが続いても、有資格者数と常勤換算の就業者数には差が残り続けると見込まれます。人手不足が自然に解消されるという前提で採用計画を立てるのはリスクがあります。
産休・育休をきっかけに離職につながらないようにするには、何が必要ですか?
ライフイベント自体を避けることはできないため、休職しても復帰しやすい職場環境(時短勤務・勤務日数の調整・復帰後の役割のすり合わせ)を事前に用意しておくことが重要です。
近隣クリニックに人材を取られないためには、どうすればいいですか?
スタッフを単なる労働力ではなく医院を支える人材として位置づけ、能力や貢献に見合った待遇を提示することが有効です。給与だけでなく、休日・教育体制・キャリアパスも含めて発信することが差別化につながります。
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