採用した視能訓練士がすぐ辞める…早期離職を防ぐ定着策と原因の見極め方
視能訓練士国家資格保有・株式会社Contact代表として眼科クリニックの採用支援を専門に行う
採用した視能訓練士や検査スタッフがすぐに辞めてしまう背景には、「求人内容と実態のギャップ」「教育担当の不在」「相談しにくい環境」という3つの典型パターンがあります。給与や待遇の見直しだけでなく、この3点を点検することが、早期離職を防ぐ最短の対策です。
なぜ採用してもすぐ辞めてしまうのか
視能訓練士は国家資格保有者が全国に約2万人(日本視能訓練士協会)、うち就業者数は1万人程度とされています(厚生労働省、2023年)。母数が少なく採用自体に時間がかかる職種だからこそ、せっかく採用した方の早期離職は、医院にとって採用コスト・時間の両面で大きな損失になります。
早期離職の理由は医院ごとに異なりますが、傾向として次の3パターンに集約されます。
- 求人内容と実際の働き方に差がある:求人票に記載していた給与や休日の条件が、入職後に「実際は違った」と感じられるケース。特に休みの曜日や給与の上がり方が「急に変わった」場合、大切にされていないという印象につながりやすくなります。
- 教育担当が決まっていない、または板挟みになる:教育できる人材の不足から、教育担当が明確でないまま新人を受け入れてしまうケース。視能訓練士の検査手技には地域や養成校による流派の違いがあり、複数のスタッフから違う指導を受けると、新人は板挟み状態になりやすくなります。
- 相談や質問がしにくく孤立してしまう:教育担当がいても質問しづらい雰囲気があると、若手や経験の浅いスタッフが一人で抱え込み、既存スタッフの輪にも入りにくくなります。
給与や待遇だけが離職理由ではない
給与や待遇は退職理由として重要なポイントですが、それだけがすべてではありません。人間関係、教育体制、休みの取りやすさといったワークライフバランスも同じくらい重視される傾向があります。
女性スタッフの比率が高い職場では、給与水準そのものよりも「子育てと両立しやすい環境かどうか」を重視する声が多く聞かれます。給与面の改善に着手しづらい場合でも、人間関係や働きやすさの見直しから着手できる余地は十分にあります。
入職前後のギャップを埋める2つの方法
入職前に聞いていた内容と、実際の働き方の差は、早期離職につながりやすいポイントです。ギャップを埋める方法は大きく2つあります。
| 方法 | やること |
|---|---|
| 面接フローの中に対話の機会を入れる | 面接を1回で終わらせず、入職前にもう一度、条件や医院の課題を率直に話す時間を設ける |
| 人材紹介会社の担当者に相談する | 求人を出す前に募集背景をヒアリングしてもらい、第三者視点で候補者とのギャップを事前にすり合わせてもらう |
伝えにくい条件ほど、入職前に正直に共有し、納得したうえで入職してもらうことが重要です。隠したまま入職してもらうと、後々の不信感につながりやすくなります。
新人教育体制で押さえるべき2点
新人を受け入れる際の教育体制では、次の2点が特に重要です。
- 教育担当を1人に決める:複数のスタッフがそれぞれ違う指導をすると、新人はどちらに従えばよいか分からず板挟みになります。教育担当は院長・トップの判断で明確に1人決めることが重要です。
- 質問しやすい心理的安全性を確保する:教育担当を決めても、質問しづらい関係性のままでは機能しません。加えて、視能訓練士は養成校卒業後にいきなりクリニックへ入職するケースが多く、大きな病院で研修を積む機会が他の医療職に比べて少ない傾向があります。院内ルールや検査の流れを初日にまとめて伝える研修の機会を、必ず設けることをおすすめします。
スタッフが辞めそうなとき、院長ができること
最近の会話量が減った、発言が少なくなったといった変化に気づいた段階で、辞める・辞めないを問わず、院長自ら声をかけることが重要です。
いきなり1時間の面談を設定すると身構えられてしまうため、5分程度の声かけから始めるのがおすすめです。診察室に呼ぶのではなく、検査室など相手が話しやすい場所で、否定せずにまずヒアリングをすることで、離職や会話減少の根本原因を特定しやすくなります。心が決まってしまった状態で「辞めるな」と伝えても効果は薄いため、その手前の段階で根本原因をつぶしにいく姿勢が大切です。
まとめ
- 早期離職の典型パターンは「求人内容と実態のギャップ」「教育担当の不在・板挟み」「相談しにくい孤立」の3つ
- 給与・待遇だけでなく、人間関係・教育体制・ワークライフバランスの見直しが定着率に直結する
- 入職前後のギャップは、面接フローへの対話追加、または人材紹介会社への相談で埋められる
- 新人教育は「教育担当を1人に固定」「質問しやすい心理的安全性の確保」がセット
早期離職でお悩みの眼科クリニックの先生は、採用時点でのすり合わせから定着策まで、Contactキャリアの無料相談でまずは現状をお聞かせください。
よくある質問
視能訓練士が辞める一番の原因は給与や待遇ですか?
給与・待遇は重要な要素ですが、それだけが退職理由ではありません。人間関係や教育体制、休みの取りやすさといったワークライフバランスも同じくらい重視される傾向があります。給与面の見直しと合わせて、働きやすさそのものを点検することが大切です。
教育担当を決める以外に、新人受け入れで意識すべきことはありますか?
教育担当を1人に固定することに加えて、その担当者へ質問しやすい雰囲気を作ることが重要です。担当を決めても質問しづらい関係性のままでは、教育体制自体が機能しなくなってしまいます。院内ルールや検査の進め方を初日にまとめて伝える研修の機会も、あわせて設けることをおすすめします。
入職前と入職後のギャップはどう防げばよいですか?
面接を1回で終わらせず、入職前にもう一度対話する機会を設けることが有効です。休みの曜日や給与の見通しなど、伝えにくい条件ほど早い段階で正直に共有し、納得したうえで入職してもらうことが、入職後のギャップを防ぐ近道になります。
スタッフが辞めそうな兆候に気づいたら、まず何をすべきですか?
いきなり長時間の面談を設定するのではなく、5分程度の声かけから始めるのがおすすめです。最近の会話量や発言の変化に気づいた段階で、辞める・辞めないを問わず話す機会を作り、否定せずにヒアリングすることで根本原因を特定しやすくなります。
人材紹介会社を使うと定着率の相談もできますか?
紹介会社によって対応範囲は異なりますが、入職前のヒアリングや条件のすり合わせを代行できる会社であれば、第三者視点でのギャップ解消に役立ちます。紹介手数料の仕組みについては[視能訓練士の紹介手数料の相場](/ganka-recruit/column/ort-referral-fee/)で解説していますので、あわせてご確認ください。