面接だけで「良い人材」は見抜けない?視能訓練士の採用基準は面接前に決める
視能訓練士国家資格保有・株式会社Contact代表として眼科クリニックの採用支援を専門に行う
面接のテクニックを磨く前に、「良い人材」の定義はクリニックごとに異なるという前提に立ち、自院にとっての採用基準を面接前に言語化しておくことが、視能訓練士の採用で失敗しないための最初の一歩です。眼科医の先生方から日々寄せられる採用のご相談をもとに、Contactキャリア代表・依田龍之介がその考え方を整理します。
なぜ面接だけで「良い人材」を見抜くのは難しいのか
面接は限られたやり取りの中で候補者を評価する場であり、検査スキルや人間性のすべてを判断できるわけではありません。加えて、そもそも「良い人材」の基準はクリニックによって異なります。同じ経歴・スキルの候補者でも、ある医院では高く評価され、別の医院では合わないと判断されることがあります。
面接での質問や評価基準を固める前に、まず自院にとっての「良い人材」とは何かを言語化しておくことが欠かせません。
「良い人材」を構成する2つの軸:検査スキルと人間性
視能訓練士の採用で見るべきポイントは、大きく分けて2つあります。
- 検査スキル:検査の質の高さ、経験に裏打ちされた技術力
- 人間性:クリニックの方針や患者層との相性、既存スタッフと協力できるか、指導を素直に受け止めて改善できるか
経験や検査スキルが高いというだけで「良い人材」と判断するのは早計です。実際には、クリニックの方針や患者への接し方が院の考え方と合っているかどうかが、検査スキルと同じくらい重要になります。
スキルより見落とされがちな「相性」という視点
検査スキルは経験年数や資格である程度客観的に測れますが、「相性」は見落とされやすいポイントです。患者層の年齢層や疾患傾向、診療スタイル(丁寧な説明を重視するか、スピードを重視するか)によって、求められる接し方は院ごとに異なります。過去の職場で評価されていた人材でも、方針が異なる環境では力を発揮しにくいことがあります。
「素直さ」と成長意欲をどう見極めるか
最初からすべてを100点でこなせる人はいません。指導を受けたときに自分の悪かった点や改善できる点を素直に受け止め、前向きに改善しようと動けるかどうかが、長く活躍できる人材かどうかの分かれ目になります。
面接では、過去に指摘や失敗をどう受け止め、どう行動を変えたかを具体的なエピソードとして聞くことで、素直さや成長意欲を見極めやすくなります。
面接での質問設計:人柄を見極めるにはどう聞くか
やってしまいがちなのが、履歴書やこれまで勤めていたクリニック・病院の経歴だけを見て「あの医院にいたなら大丈夫そうだ」と判断してしまうことです。志望動機や「強み・弱みは何ですか」といった定番の質問だけでも、人柄を判断する材料としては不十分です。
おすすめは、過去に困った場面や乗り越えた場面をどう対応したかを具体的に聞くことです。たとえば「前職の検査業務のなかで発生したトラブルや、先輩から受けた指摘にどう対応し、どう乗り越えたか」を聞くと、その人の人間性が見えてきます。
こうした質問に正解・不正解はありません。回答の内容そのものだけでなく、そこに至るまでの物事の考え方や、それを伝えるときのコミュニケーションの取り方まで見ることが重要です。正解を求めるのではなく、自院の価値観と合うかどうかを見る、という視点で聞くとよいでしょう。
経験・スキルはどこまで信じてよいか
「検査ができます」という自己申告をそのままうのみにしないことも重要です。検査ができるといっても人によってレベル感は異なりますし、それまで所属していたクリニックで求められていた検査レベルにも差があります。
まずは院内で「できる検査・できない検査」を一つひとつリストアップすることから始めます。そのうえで「検査ができる」と言われたら、経験年数・どんな患者層にどんな検査をしていたか・どんな診療環境だったか・どんな指導を受けていたかを具体的に聞くと、実際のスキルレベルが見えてきます。
「指導をしたことがあるか(特に3人以上を指導した経験があるか)」も、検査ができることの裏付けの一つとして参考になる質問です。当社(Contactキャリア)でご紹介する際は、70種類以上の検査項目や検査以外の説明スキルを可視化したスキルシートをお渡ししていますが、個別に採用活動をする場合は、まず自院で必要な検査項目を洗い出すところから始めるとよいでしょう。
院長一人で判断しない
面接の場では、候補者本来の人柄が出づらいことがあります。面接練習を重ねてきた候補者ほど面接をうまくこなすため、15〜30分程度の短い面接では実際以上によく見えてしまうこともあります。
そのため、院長以外の既存スタッフ(あるいは対応にあたっている家族)にも候補者と接する機会を設け、そこで見えた一面――院長には見せなかった一面――を聞き出してもらうことが参考になります。
ただし、既存スタッフの好き嫌いに引っ張られすぎると、採用の判断自体ができなくなってしまうこともあります。あくまで最終的な採用判断は、経営者があらかじめ決めた採用基準に沿って行うものであり、スタッフの好みで決めるものではない、という軸は保っておくことが重要です。
一度の面接で判断できないときは、接点を増やす
一度の面接で無理に結論を出す必要はありません。二次面接や院内見学など、コミュニケーションを取る機会を複数回に分けて設けることで、判断材料を増やすことができます。
一方で、候補者への質問ばかりが続く面談は、候補者を疲れさせてしまったり、その間に他院の選考が先に進んでしまったりする原因にもなります。質問し続けるだけでなく、仕事内容やクリニックの特徴、逆に職場の課題まで院側からも伝え、双方向のコミュニケーションを意識した設定を増やすと、面接だけでは見えなかった良い面・悪い面が見えてきます。
面接前にやるべきこと:自院の「良い人材」を言語化する
クリニックによって「良い人材」「合わない人材」の基準は異なります。面接を始める前、そもそも採用を考えた段階で、自分のクリニック・病院にとって一番良い人材とはどういう人なのかをしっかり言語化し、それに基づいて対応方針や評価基準を決めておくことが重要です。
言語化のヒントとして、次の4つの観点を整理しておくと評価基準を作りやすくなります。
| 観点 | 整理すること |
|---|---|
| 検査スキル | 必須の検査項目・機器の経験・資格の有無 |
| 診療方針との相性 | 丁寧な説明重視か、スピード重視か。患者層の年齢・疾患傾向 |
| チーム協働 | 既存スタッフとの協力姿勢、コミュニケーションスタイル |
| 成長意欲 | 指摘や失敗をどう受け止め、改善に動けるか |
自院だけで整理が難しい場合は、これまでの採用・定着の傾向を知る人材紹介会社に相談し、第三者視点で言語化を手伝ってもらう方法も有効です。
まとめ
- 「良い人材」は検査スキルと人間性(相性・協働・素直さ)の両方で決まる
- 経験や検査スキルの高さだけで判断するのは早計。クリニックの方針との相性が同じくらい重要
- 面接だけで完全に見抜くのは難しい。面接前に自院の採用基準を言語化しておくことが第一歩
- 人柄は、過去の困難な場面へどう対応したかを具体的に聞くことで見極めやすくなる
- 「検査ができる」という自己申告はうのみにせず、経験年数・患者層・指導内容まで具体的に確認する
- 院長一人で判断せず、既存スタッフとの接点も踏まえたうえで、あらかじめ決めた採用基準に沿って判断する
- 一度の面接で判断できなければ、二次面接や院内見学など接点を増やし、院側からの情報発信も忘れない
視能訓練士の採用基準の言語化からサポートしてほしい眼科クリニックの先生は、Contactキャリアの無料相談で、まずは自院に合う人材像の整理からご相談ください。
よくある質問
視能訓練士の「良い人材」は経験年数やスキルの高さで決まりますか?
検査スキルの高さは大切な要素の一つですが、それだけでは決まりません。クリニックの方針や患者対応のスタイルとの相性、既存スタッフと協力できるか、指導を素直に受け止めて改善できるかといった人間性の側面も同じくらい重要です。
面接だけで「良い人材」を見抜くことはできますか?
面接だけで正確に見抜くのは簡単ではありません。そもそも「良い人材」の定義はクリニックごとに異なるため、面接の質問や評価基準を作る前に、自院にとっての「良い人材」とは何かを言語化しておくことが前提になります。
面接ではどのような質問をすれば人柄を見極められますか?
履歴書や前職の経歴だけで判断したり、志望動機・強み弱みといった定型質問だけに頼るのは避けたいところです。過去に困った場面や乗り越えた場面をどう対応したか具体的に聞き、回答の内容だけでなく、そこに至る考え方や伝え方まで見ることで、自院の価値観と合うかどうかが見えてきます。
「検査ができる」という自己申告はそのまま信じてよいですか?
できるだけ具体的に確認することが重要です。検査ができるといっても人によってレベル感は異なり、それまで所属していたクリニックで求められていた水準にも差があります。経験年数・対象の患者層・診療環境・受けていた指導内容などを具体的に聞くと、実際のスキルが見えてきます。
「素直さ」はどのように見極めればよいですか?
完璧な状態で入職できる人はいません。過去の指摘や失敗をどう受け止め、改善に動いたかを具体的なエピソードとして質問し、振り返り方や行動の変化を確認することで見極めやすくなります。
院長一人で採用を判断してもよいですか?
面接の場では候補者本来の人柄が出づらく、面接に慣れている候補者ほど短時間の面接ではよく見えることがあります。既存スタッフと接する機会を設けて別の一面を確認してもらうと参考になりますが、最終判断はスタッフの好みに流されすぎず、あらかじめ決めた採用基準に沿って経営者が行うことが大切です。
採用基準を言語化するには、まず何から始めればよいですか?
自院の診療方針や患者層、既存スタッフの雰囲気を整理したうえで、「どんな検査スキルが必須か」「どんな人柄・働き方が合うか」を書き出すことから始めます。採用した後の定着策については[早期離職を防ぐ定着策と原因の見極め方](/ganka-recruit/column/ort-teichaku-taisaku/)でも解説していますので、あわせてご確認ください。
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